「超富裕層の子どものライフコーチ」が語る、彼らに共通する問題と解決方法(海外)
3つの大きな問題を克服するための3つのステップ
私の経験では、従来の話し合いによるセラピーは主に、感情を処理し、思考パターンを分析することを目的としている。私はライフコーチとして、一部それらの要素も用いるが、重視するのは行動を起こすことだ。私は、3つの重要な問題を、3つの重要な行動で乗り越えるためのカリキュラムを開発した。 1. 人生のコントロールを、自分の手に取り戻す 私のクライアントの多くは、被害者意識に陥り、自分は不親切な世界に翻弄されていると信じている。私は彼らに、いかなる状況にも、それに対処する方法を自分で選択できることを理解させるよう働きかけている。 ある生徒は、第一志望の大学に合格できなかった。おそらく人生で初めての大きな挫折だったため、彼女にとってそれは辛い経験だった。 不本意ながらも第二志望の大学に進学したが、新入生オリエンテーションには参加せず、同級生との交流も拒み、自分の部屋に閉じこもって、ソーシャルメディアやネットフリックス(Netflix)に没頭した。被害者意識に浸ることで、不必要な苦しみを自ら引き起こしていたのだ。 彼女のコーチングを始めたときの私は、何でもいいから行動を起こすことで、自分の人生をコントロールする力を取り戻させることに重点を置いた。彼女が望んだ行動は、第一志望の大学に編入申請を行うことだった。私は、彼女が意識を転換するのであれば、その行動をサポートすると約束した。この転換が2つ目のステップだ。 2. 内発的な動機付けを見つける 我々の文化では一般的に、成功とは、成績や名門大学、自慢できる仕事、財産といった、比較的表面的な成果を意味する。 私は以前、裕福な環境で育った人は、お金に縛られず、期待から解放されて、好きなように生きることに迷いがないのだろうと思っていた。しかし驚いたことに、私の生徒たちは正反対の考えを持っていた。彼らは、お金や地位こそが自分の価値につながるという考えを強化する環境に生きているのだ。 つまり、先ほどのクライアントの場合、とても良い大学だが、超一流とは言えないところに入ることは、完全な失敗だったのだ。 編入申請の結果が出るまでのあいだ、私は彼女に、現在の環境のポジティブな面に目を向け、楽しいと思える活動に取り組むことを勧めた。 彼女はしぶしぶではあるが、自分の興味に合ったクラブ活動に参加し、オフィスアワー(教員が研究室にいて、学生の相談などに応じる時間)に教授を訪れて、将来の大きな構想について語り始めた。彼女は次第に、自分が大学コミュニティの一員であると感じるようになった。 その年の終わりに第一志望の大学に合格したが、最終的にはそのオファーを断わった。彼女は、外からもたらされるのではなく、自分の内側から沸き起こるものを動機付けとするようになっていた。大学の名前より、個人的な達成感の方が大切だと判断したのだ。 3. 他者のウェルビーイングに貢献する 私のクライアントの多くは、自分以外の誰かのために働いたり、掃除をしたり、考えたりする必要に迫られた経験がない。しかし、自分自身のことばかりを考えている時間は、疲労するものになり得る。 私は生徒たちに、専門的な団体でのボランティア活動や、あるいはただ家事の手伝いをするだけでもいいので、他者の生活に貢献する方法を見つけるようアドバイスしている。
Tess Martinelli