食肉加工と自動車部品の異業種タッグ合弁会社が挑む牛のげっぷのメタン削減 地球に優しい飼料実用化へ実証実験
食肉生産加工のカミチクホールディングス(鹿児島市)と、自動車部品大手デンソー(愛知県刈谷市)が、合弁会社「KJバイオ」を熊本県天草市に今春立ち上げた。“異業種タッグ”で挑むのは、地球温暖化の要因の一つとされる、牛がげっぷの際に出すメタンの削減。低減機能を有する微細藻類を活用し、飼料への実用化を目指す。 【写真】デンソーから合弁会社「KJバイオ」に引き継がれた微細藻類コッコミクサの研究施設(デンソー提供) デンソーは近年、農業分野にも注力してきた。淡水に生息する「コッコミクサ」という微細藻類の活用を模索する過程で、二酸化炭素(CO2)の28倍もの温室効果があるとされる牛のげっぷ由来のメタンを低減したり、生物の免疫力を高めたりする効果があることが判明した。 飼料生産にたけたカミチクに話を持ち込み、合弁が実現。デンソーが持つコッコミクサの特許権と天草市の研究施設をKJバイオが引き継いだ。カミチクグループの上村昌志代表がトップに就任し、3月から稼働。実証実験などに3年程度を見込み、地球にも牛にも優しい飼料を実現したい考えだ。 社名のKJは、九州と日本の英語表記の頭文字からとった。「九州産のコッコミクサで畜産・酪農業に貢献する」「国産飼料や国産牛にこだわる」との思いが込められている。 デンソーは「長年育ててきたコッコミクサの実用化に一歩近づいた」。上村代表は「温室効果ガス削減や牛の免疫力向上を目指し、畜産業全体の発展に貢献していく」とコメントした。 (金子晋輔)