フランス国債の暴落、欧州債市場の序列覆す-政治と財政の重要性示す
(ブルームバーグ): フランスの政治リスクの再燃により、同国国債利回りがかつて欧州債務危機の中心だった国債と肩を並べることになり、欧州ソブリン債市場の序列が再編されつつある。
マクロン仏大統領が9日に解散総選挙を決めて以来、伝統的にユーロ圏で最も安全な資産の一つと考えられてきた仏国債は急激に売られ、現在ではポルトガル国債を上回る利回りのものもあれば、スペイン国債をわずか数ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回るだけのものもある。
欧州債のベテランにとっては、ユーロ圏第2の経済大国であり市場の重鎮だったフランスが、格付けが低く高い債務水準がかつてユーロを脅かした国々と対等になったことは驚くべきことだ。10年以上前の危機のピーク時、ポルトガルの10年債利回りは仏国債を約14ポイントも上回っていた。
ノルデアのチーフアナリスト、ヤン・フォンヘリッヒ氏は、「政治と財政見通しが依然として重要であることを再認識させるものだった」と述べた。「政治的リスクはユーロ建て債券市場ではほとんど忘れられていたようだ」と続けた。
このリプライシングは、欧州の周辺諸国が近年に債務を削減し、ユーロ圏で最も急成長している国に数えられるまでに経済改革を成し遂げたことを物語っている。また、先進国経済が今日でも、市場による叱責を免れられないことを再認識させるものだ。
マクロン大統領が辞任を準備しているとの報道が11日に流れたことで、仏国債の売りはさらに悪化した。報道はすぐに否定されたが、暴落は他の市場にも広がり、イタリア債のドイツ債に対するスプレッドはは一時11bp拡大した。仏国債は12日の取引開始直後に小幅上昇した。
動揺する投資家
マクロン大統領の解散総選挙の決定は、欧州議会選挙でマリーヌ・ルペン氏に大敗を喫した同大統領がルペン氏による政権奪取を阻止するための策だ。この賭けは投資家を動揺させ、すでに赤字の財政やマクロン氏の企業寄りの政策の将来に疑問を投げかけた。