中国・保護活動でジャイアントパンダの個体数が増加
【東方新報】野生のジャイアントパンダの生息数は、1980年代の約1100頭から、昨年には1900頭近くに増加した。中国の長年の保護活動が実を結び、16年には国際自然保護連合(IUCN)による絶滅危惧種リストの分類が「絶滅危惧種」から、その下のレベルの「危急種」にまで改善された。 中国のジャイアントパンダ生息地の保護区は、80年代の139万ヘクタールから258万ヘクタールまで拡大している。 21年に四川省(Sichuan)、陝西省(Shaanxi)、甘粛省(Gansu)にまたがる「ジャイアントパンダ国立公園」が設立されたことで、野生のジャイアントパンダの生息地の約70パーセントが確実に保護されることになった。中国国家林業草原局の話では、入念なモニタリングのおかげで、監視カメラに写ったり、人が遭遇した野生の頭数は明らかに増加しているという。 愛好家たちは、中国の「国宝」であるジャイアントパンダの個体数が増加し続けているのを喜んでいるが、「ニューヨーク・タイムズ(New York Times)」の今月の記事では、中国の個体数調査に対して一つの懸念が提示された。この記事は06年と10年の専門家のコメントを引用したものだが、個体数調査に中国が現在用いている方法は「理想的ではない」とし、また「中国は調査方法を秘密にしている」とも述べている。 中国のジャイアントパンダの生息数調査は、70年代以降合計4回実施され、直近の調査は15年に完了した。これはニューヨーク・タイムズが引用した専門家のコメントよりも5年遅い。 これに関し、国立公園研究院の徐衛華(Xu Weihua)副院長は次のように説明している。「野生動物の保護研究において個体数評価は大きな課題である。特にジャイアントパンダのように森林に生息する動物は、直接の観察や頭数確認が困難なことが多く、生息の痕跡情報を収集することでしか評価できない。99年に始まった3回目のジャイアントパンダ全国調査と11年に始まった4回目の調査では、パンダの分布範囲の重点地域では2平方キロメートルごとに、パンダの数が少ない地域では6平方キロごとに調査ラインを設定した。これは高い情報収集密度といえる」 「調査員はパンダの糞、噛み跡、痕跡の距離、噛み跡の識別などのデータを収集し、総合的な分析を行い、全国の個体数を評価した。これは科学的に検証され、野生の個体群の調査を行う上で効果的な方法である」 距離判別法は、糞や足跡、毛などの野外調査で得られたパンダの痕跡点間の距離を計算し、同じ個体のものかどうかを判断し、そのエリアの個体数を確定するものだ。 徐氏の話によると、ジャイアントパンダは単独行動する動物で、交尾期や季節的な垂直移動期以外では、一定の時間枠内での移動は限定的でそのパターンは安定しているので、複数の足跡の距離を測定することで、それが同じパンダのものかどうかを確認することができるという。徐氏は「足跡間の距離が1頭の通常の行動範囲を超える場合、その地域には複数のパンダがいると予備的に判断される」とこの方法の科学的根拠を説明した。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。