有村架純、坂口健太郎が「さよならのつづき」ワールドプレミアに登場「後悔のないように大切な人との時間を過ごしてほしい」
有村架純、坂口健太郎W主演のNetflixシリーズ「さよならのつづき」(11月14日[木]配信スタート)が「第29回釜山国際映画祭」に正式招待され、映画祭2日目のワールドプレミアに有村、坂口、黒崎博監督が出席した。 【写真】韓国語であいさつする有村架純 ■有村架純、坂口健太郎の韓国語でのあいさつに歓声が上がる アジア最大規模の映画祭「第29回釜山国際映画祭」オンスクリーン部門は、2021年に新設された配信ドラマ向けの部門。最も期待される話題のドラマを紹介しており、「さよならのつづき」は日本作品として初めて正式招待されている。 11月14日(木)の配信に先駆け世界初となる上映となった映画祭2日目、世界からの注目度も高いNetflix日本作品の最新作ということもあり、会場には満席となる約800人の観客が来場。1&2話のワールドプレミアの上映終了後には会場から拍手が沸き起こり、観客と一緒に本編を鑑賞していた有村、坂口、黒崎監督はその拍手の中、3人そろってステージに登壇。 やや緊張もうかがえる面持ちの有村は、韓国語で「こんにちは、有村架純です。お会いできてうれしいです。この作品をたくさんたくさん愛してください」とあいさつ。坂口も韓国語で「こんにちは、坂口健太郎です。皆さん、ドラマいかがでしたでしょうか? ありがとうございます」と話し、2人からの韓国語のサプライズに観客から歓声が上がった。 ■時間をかけて臨んだという坂口健太郎のピアノ演奏シーン Q&Aタイムでは、まず黒崎監督に「脚本を書かれた岡田惠和さんと、この作品を作り上げるに当たって悩まれたと記事で読みましたが、制作過程を改めて教えてください」との質問が。 黒崎監督は「最初の発端は、本作のNetflix・岡野真紀子プロデューサーの個人的な体験から着想を得てスタートしました。そして、この物語が単にリアルな話ではなく、少しだけファンタジックな要素(臓器移植によって記憶が転移するというエピソード)も含んでいるため、たくさんのリサーチや調査を経てこの作品を作り上げてきました。この物語はラブストーリーではありますが、人を愛することってなんだろうという非常にシンプルな問いに対して、キャストスタッフ全員でその答えを探す旅をするために、たくさんの綿密なリサーチを重ねていきました」と回答。 愛する人を亡くしたが、その半面はつらつとした姿を見せるなど、複雑な感情を持っているようにも見える主人公・さえ子というキャラクターを演じる上での準備を聞かれ、有村は「監督やスタッフとみんなで話し合って作り上げていったのですが、日本人は元々喜怒哀楽を表に出すというよりも、どちらかというと控え目で繊細な表現をすることが多いと思いますが、日本人的にはない、うれしい、楽しい、悲しい、怒りのような素直な感情を思いっ切り、気持ち良く表現できるような女性像を目指しました。さえ子というキャラクターの強さや、無邪気さを表現できたらいいなと思い挑戦しました」と、試行錯誤しながらキャラクターを作り上げていったことを明かす。 同じく、演じた役どころについての難しさを問われた坂口は「本当に難しかったです。自分の体があって、そこにある種2人の意識があって、撮影中も今は一体どちらの自分なのか説明ができないほどでした。そんな経験は誰もしてきていないからこそ、監督とスタッフと話し合いながら少しづつ積み上げていきました。そして、そこには正解がないと思っていたので、1つのシーンを何度も紆余(うよ)曲折を経ながら、地道に積み上げるように撮影していきました。今でも正解は分からないですが、みんなで雄介が入った成瀬の人物像を作り上げていきました」と答える。 さらに、本作のストーリーにおいても重要な鍵となるピアノのシーンについての質問も。 実際に演奏するシーンを「いや、もう大変でしたね(笑)。でも、今までピアノを弾いたことがなかった成瀬が、突然ピアノの演奏ができてしまうあのシーンはある種ファンタジーだと思うし、そこには確かに成瀬も雄介も実在していて。いろいろな角度から何度も撮影したので、撮影自体もそれに向けた練習も、時間をかけて臨みました」と振り返る坂口。 それを聞いて、MCは「もしここにピアノがあったら、ぜひここで弾いてほしかった!」と残念がっていた。 ■有村架純、坂口健太郎、黒崎博監督が考える“愛”とは? 鑑賞直後の観客も早速、「私は、心臓がよりドキドキと大きく動くときが愛だと思っています。先ほど監督からも、このドラマを通して一緒に愛を探す旅に出てほしいというお話もありましたが、皆さんにとって愛とは何でしょうか?」と質問。 黒崎監督は、「自分で出した問いに、自分で答えるのは難しいですね(笑)。自分がこの作品を撮りながら思っていたのは『愛とは恐れ』です。人を愛するということはとても幸せなことです。でも、本当に誰かを好きになってしまったときに、その愛が自分自身を、また相手や他の誰かを傷つけるのではないか、そういった、いろいろな形の愛がこのドラマにたくさん込められています。そのどれもが深くて強い。その心情をこの2人が繊細に感じながら演じてくれました」と熱く答える。 有村は「私が思う愛とは『涙』。その理由は、思うからこそ、友達でも家族でも恋人でも、うれし涙や悲しい涙を一緒に流したり、自分の心が1ミリでも2ミリでも動くものに対しては、全てに愛が生まれている証なのかなと思います。すてきな景色を見て、なぜか分からないけど涙が出たり、そういったものに出会った瞬間にさえ、愛が生まれるのかなと思います」と力強く、真っすぐに返答。 そして、坂口は「愛かぁ。僕は、愛とは?って問われたときに自己犠牲と答えていて。恋人同士でも家族でも友人でも、自分のことを犠牲にしてまでも相手のために何かしたくなった瞬間に、初めて愛になるんじゃないかなと思います。だからこそ、自分の中の愛の許容量を増やしておかなきゃいけないなと思いますね」と話した。 ■坂口健太郎「彼らの生きていた証を心に留めてもらえたらうれしい」 最後のあいさつでは、黒崎監督が「素晴らしい機会をありがとうございます。この作品をお見せするのは世界中で今日が初めてなので、とても楽しみに、緊張してやって来ました。今日、皆さんに温かく見守ってもらって、やっと羽ばたいていけるなという気持ちでいます。この映画祭には、たくさんの国からたくさんの作品が持ち込まれています。僕たちも、この作品の全8話の時間を使って、精一杯人間の愛について考え描きましたが、それでも1作品で人間のごく一部しか描けないからこそ、この映画祭全体で積み重なり作品が育っていくことで、だんだん人間というものが浮かび上がってくるのではないかなと、昨日から参加していて考えています。僕たちの作品も、たくさんの作品の中の大事な1つのピースになればと願っています」と熱い思いを口に。 有村は「この歴史ある映画祭でこの作品を残せたことを、すごくうれしく思います。大切な人が亡くなったときに、魂は生き続けていくと思うことで自分の悲しみを受け入れようとすると思うけど、やっぱりそんな美しいことばかりを思えるわけではないと思うんですよね。どうしたって、そこにいてほしい、触れたい、声が聞きたいと思うことはきっとたくさんあって。だからこそ、皆さんが思う大切な方たちを今一度、改めて思うことができたら、私としてとても幸せなことだなと思います。どうか後悔のないように、大切な人との時間を過ごしてほしいです。そして、この物語と同じように、悲しいことがあっても人生は続いていくので、その悲しみを乗り越えた先にきっとある希望をくれるような作品になっている、そういうメッセージが伝わればうれしいなと思います。ありがとうございました」と話す。 坂口は「やっぱり、愛情というものはすごく普遍的でもあり、国や人種やいろんなものを超越して、そこに存在しているものだと思います。人間は必ずしも正しい選択はできないし、そこでどうしても間違いを犯してしまうときもあるし、それでも僕たちは生きていくんですよね。悲しいことがあっても、僕らは一歩足を前に踏み出さないといけなくて。成瀬やさえ子は演じた役ではあるけれど、今見てもらった映像の中で彼らは確かに存在していて、呼吸していて、彼らのその生きざまやストーリーを皆さんの心の中に残してほしいと思います。あと、すごく個人的なんですけど、2回目見た方がグッときたんですよね。良いドラマだなと思っちゃって(笑)。そのときの自分の環境だったり、タイミングで見え方が少しずつ変わっていく作品だとも思うので、彼らの生きていた証を心に留めてもらえたらうれしいなと思います。今日はありがとうございました」と締めくくった。 ■Netflixシリーズ「さよならのつづき」ストーリー 菅原さえ子(有村)が恋人の中町雄介(生田斗真)からのプロポーズを受けたその日、雄介は交通事故で亡くなってしまう。北海道のコーヒー会社で働くさえ子は仕事に没頭しようとするが、雄介がくれた愛の大きさに日々気づかされていた。 あるとき、さえ子は雄介の心臓を提供された相手から手紙を受け取る。ルールに従って無記名でお礼を書いたのは、大学職員の成瀬和正(坂口)。彼の病を知った上で一緒になったミキ(中村ゆり)と、リンゴ園を営む彼女の実家で暮らしている。 手術に成功した成瀬は驚くほど元気になるが、時々フラッシュバックする自分のものではない記憶に違和感を覚えていた。北海道、ハワイの壮大な風景を舞台に、運命に翻弄(ほんろう)されるふたりの美しくも切ない、“さよなら”から始まる愛の物語。