【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第24回 板倉流チーム内コミュニケーション
■日本代表で話好きなメンバーはずばり...... 同じ日本人同士であれば、言葉の壁がない分、コミュニケーションで苦労することはあまりない。ただ、込み入った話をするならば、やっぱり食卓というのは大事なのかもしれない。 日本代表の場合、招集期間が短く限られているので、会えばいつも皆で話し込む。 例えば、先日行なわれた北中米W杯アジア最終予選・中国戦の場合(9月5日)。8月31日にドイツをたち、9月1日(日本時間)の昼に代表の合宿地に到着し、ごはんを食べてから午後練習に参加。 まずは、時差ボケの調整程度の運動や体のケアに充てる。夕飯は近況報告などの雑談程度に済ませ初日を終える。招集メンバー全員でしっかり練習できるのはだいたい試合の2日前。 中国戦では9月3日あたりから練習の合間でも戦術確認などを時間を割いてミーティング。それは食事中でも続く。自分は最後までテーブルに残っているほうで、ずっと話し込んだりする。 よく話すメンバーといえば、レギュラーとはいかないまでもだいたいはDF(長友)佑都君、MF(南野)拓実君、そしてMF(堂安)律だったりする。 バーレーン戦(9月11日)のようにアウェーゲームの滞在先では、僕らはさらに密になる。 タフな環境でハプニングも多いからだ。今年6月にアジア2次予選で行ったミャンマーでは、スコールの後、水道の蛇口から茶色い水が出てきたことがある。そうしたハプニングすらも、最近は良い話題だと思うようになった。 とにかく和気あいあい、話は尽きない僕らだが、いざ練習や紅白戦になると、一変する。みんなインテンシティは高く、一切妥協せずに戦い抜く。 このメリハリはA代表ならでは。かつて、僕はアンダー世代の代表で、和気あいあいとした雰囲気を試合にもそのまま持ち込んでしまい、失敗した苦い記憶がある。だから、緊張感は保ちたい。 とはいえ、コミュニケーションはすべての根幹だ。サッカーに限らずチームワークを行なう上でやりとりがまったくないのでは物事は前に進まない。 無理する必要はない。ちっぽけな話題で構わないので、さらっと話をしてみるといい。きっとポジティブな展開が待っているはずだ。 構成・文/高橋史門 写真/JFA/AFLO