「恋人同士だった」小学生への性加害を行った49歳男の“おぞましい”主張と「認知の歪み」
被害者に「なぜ逃げなかったの?」と聞かないワケ
性犯罪、特に強制性交等罪をめぐる裁判で、被告が「相手が抵抗しなかったので、受け入れていると判断した」「嫌がっているなんて思いもよらなかった」と主張するのはよくあることです。その主張が通って無罪となった例は、非常に残念なことに数えきれないほどあります。 被害者は「性交したくなかった」「性交に同意していなかった」けれども、恐怖で身体が動かなくなった……。しかしこれを証明するのは容易ではありません。明らかな暴行・脅迫がなくとも、加害者が被害者にとって逆らえない人物であれば何もしなくても抵抗を封じられます。ゆえに、被害者支援の現場では「なぜ逃げなかったの?」と聞くことはありません。それは逃げられないのが当たり前だからであり、問うこと自体が被害者の自責や、さらなる傷つきにつながるからです。 (続)
斉藤章佳