「結核」は昔の病気ではない 入院3カ月・完治まで10カ月闘病したJOYさん 発見の難しさやつらさ語る
■「結核」の怖さ「病院をたらい回し」で発見されず
またJOYさんの実体験から、「結核」を見分ける難しさがあることが分かります。 JOYさんの場合、初めは普通のせきで、やがて息を吸っただけで反動でせきが出るような状態になり、3~4カ月目ぐらいからだるさや微熱が出てきたということで、病院に行ってもすぐには「結核」だと診断されず、重症化してしまったといいます。 【JOYさん】「病院には何度も、10カ所近く行ったんです。『ちょっとせきが止まらないんです』と診てもらって、『かぜだと思います』とかぜ薬を処方されましたけど、治らないですよね。耳鼻咽喉科では『上咽頭炎です』って言われて、その治療を受けたり。だんだん熱も上がってきてインフルエンザの検査をしても違った」 「結核は痰の検査とかレントゲンを撮らないと分からないんです。お医者さんがすすめてくれない限り気付けない。最終的に体の寒気と震えと吐血と全部きた。死ぬと思ったんです。夜間の救急の病院に行って、そこの先生が初めて『じゃあレントゲン撮ってみましょう』と言ってくれて、ようやく発見できた」 「結核は10段階ぐらいのレベルがあるらしいのですが、僕は一番最悪な状態まで進行していた。それまでも何度も言っていたのに、若い人に対して医師の方は結核を疑わないのかなと思った」
■医師も「結核」の意識薄れている可能性あり
結核の診断というのは難しいのでしょうか? 【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「まず結核の場合、感染しても40パーセントぐらいが全く無症状で、健康診断で見つかるんです。その時に見つかっていれば一番軽いパターンになります。その後症状が出ても、ゆっくりしか発育しません。微熱、倦怠感、寝汗、それからせきがだらだら続くということで、特徴的な症状が全くないということが結核の大きな特徴です。最後に血が出るようになって、慌てて救急車を呼ぶパターンが多いですね」 どの段階で診察してもらうのがベストなのでしょうか? 【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「一般的には、例えばかぜの症状というのは1週間ぐらいがピークで、2週間ぐらいになるとおさまってくるんです。われわれのところでは大体2週間以上続くならば、レントゲンを撮りましょうというのが一般的。そういうスタイルが重要だと思います」 医療関係者の方にとって、「結核」は昔の病気だということで、意識が弱くなっていることはあるのでしょうか? 【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「そうですね。数そのものは確かにものすごく減ってきていますし、それから一番は環境がすごく良くなっていて、東南アジアみたいに栄養失調になることはなくなっているので、結核が忘れがちになっているのは間違いないです」