農家に嫁ぎ、代々伝わる年中行事を続けることに疑問を持つ48歳女性に、鴻上尚史が「伝統は、変わってもいい」と伝えた真意
ですから、「伝統」は変わります。必然を感じられなくなったら、「伝統」を続ける意味がなくなるからです。 時々、「どうしてそれを続けているの?」と聞いて「それが伝統だから」と答えるだけの人がいます。でも、それが「伝統」になったのには、理由があるはずです。そして、今も残っている理由が「伝統を守ろう」ということだけではなく、「こういう理由で残した方がいい」という明確な理由があれば、それは素敵な「伝統」だと思います。 もちろん、「理由は分からないんだけど、『伝統』だから残そう」と主張することは、悪いことではないと思います。今の私には想像もつきませんが、次世代がこの伝統の意味を見つけてくれる、なんて可能性もあると思います。 ただし、それは、みんなが「伝統」を残すことを納得し、「伝統」の維持に関して、みんなが積極的に努力することをためらわない場合だと思います。 一部の人達の犠牲と努力のみに支えられた「伝統」は、残念ながら長くは続かないと思います。 お姑さんがご存命の間は、「伝統」を続けたいと思われるでしょう。でも、お豆さんの代になり、「これとこれはもういいんじゃないでしょうか」という思いを実行することは、とても当たり前のことだと思います。お豆さんの夫がどう考えるかは問題ですが、「自分は何もしないけど、すべての伝統を残してほしい」と言われたら、話し合う余地があると思います。 お豆さん。 伝統に関しては、僕はこんなふうに考えています。 【鴻上さんへの相談、募集中!】あらゆる人間関係、組織のなかで、相談者の身に起きている困ったこと、身動きのとれない境遇、逃げ出したい状況など、すべての悩める事態に鴻上尚史さんが答えます。ぜひ、あなたの悩みをこちらからご投稿ください。 ※投稿に当たっては、注意事項を必ずお読みください。
鴻上尚史
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