阿部顕嵐 肉体改造で後ろ姿に自信!鬼と桃太郎が現代の日本で激突する注目作「桃源暗鬼」で憧れのダークヒーローに
主人公・一ノ瀬四季の銃を抱えたままのアクションに苦戦
――どんなふうに一ノ瀬四季という役柄を構築していきましたか? 当時はアニメの制作も決まっていなく、声のトーンもわからなかったですし、四季のよさはどんなところだろうと考えた結果、飾らないことが一番だと思ったので、何も意識せずにまっすぐ演じることだけを考えていました。 稽古、本番を通して苦戦したのは、大きな銃を抱えた状態での激しいアクションでした。当然、大きな銃は持ったことも撃ったこともなく、初めての挑戦だったので、思いのほか大変で。 でも、観ている方にはリアルさを感じとってほしくて、銃の重さがなるべく伝わるような体の使い方を意識していました。 ――アクションといえば、四季が通う羅刹学園の教官・無駄野無人(むだの・ないと)を演じる立花裕大さんの活躍も見ものだったそうですね。 無陀野無人は常にローラースケートを履いているキャラクターなのですが、なんといってもローラースケートの技術がすごかったですし、長ゼリフをどんなに早口で言ってもきちんと言葉が耳に入ってくる。あの役柄を演じられる俳優は裕大くん以外に考えられないと圧倒されました。 ――立花さんとは初演、別作品のドラマ、そして今回の「練馬編」と共演が続きますが、阿部さんから見てどんな俳優ですか? 一緒に舞台に立っているとき、こちらがどんなお芝居を提示しても受けとめてくださる器の大きい方です。おおらかで優しいのですぐに打ち解けることができ、プライベートでも仲良くさせていただいています。 ――共通の趣味もあるとか? 最近だと観葉植物が僕たちのホットワードですけど、筋トレに関しても新たな知識をたくさん授けていただきました。ほかにもサウナなど、会うたびに情報交換しています。
ブラピの肉体を目指して筋トレ中「カッコいい人でいたい」
――阿部さんが演じる四季はいわゆるダークヒーローと呼ばれる役どころですが、どんな部分に魅力を感じていますか? ダークヒーローって一般的には悪ですよね。だけど、悪にだって正義があるし、時代が変われば逆転して、真のヒーローになる可能性もある。『バットマン』でいうジョーカーもそうですけど、自分なりの正義を貫いているところに惹かれます。 四季も同様で、自分が信じる正義のためなら、相手が敵だろうが仲間だろうが、きちんと主張できることが彼ならではの強さで、僕の好きなところです。 ――我々が慣れ親しんでいるおとぎ話では桃太郎が正、鬼が悪と捉えられていますが、鬼の立場で考えてみれば、確かに桃太郎のほうが悪なわけで…。 その逆転の発想は自分にも置き換えられることで、例えば、世界情勢なんかもそうですよね。「正しいって何だろう?正義って何だろう?」と逆の視点でも物事を考えられるようになったのは、『桃源暗鬼』という作品と出合えたからだと思います。 ――立花さんと筋トレの情報交換をしているという話が出ましたが、阿部さんの体が以前と比べて、かなり大きくなったように感じました。 僕たちの仕事は体が資本で、特に舞台は大きい体のほうが見栄えがよく、僕もずっとカッコいい人でいたいので筋トレを始めました。今は自分の理想に近づけている最中です。 ――理想というのはどんな肉体ですか? ブラッド・ピットのように、服を着ているときはそんなに大きく見えないけど、脱いだらバキバキみたいなのは羨ましいですね。まだまだブラピにはほど遠いけれども、肩のラインや後ろ姿に自信をもてるようになりました。 ――『桃源暗鬼』では鬼と桃太郎が敵対関係にありますが、阿部さんにとっての天敵は? やっぱり自分です。トレーニングをしているときもそうですし、それこそ一日の始まり、朝起きる瞬間から「もうちょっと寝たい」って自分との戦いですよ。 なかなか手ごわい天敵ですが、一生付き合っていかなければいけないし、一番の敵で一番の味方。これからも上手に付き合っていきたいです。 ――阿部さんの中に鬼の部分は存在していますか? 自分ができる範囲内で人に何かを教えるとき、例えば、筋トレ中に甘えが出ると「いや、まだできるでしょ」って、僕の中の鬼が出てきます。 本来の僕は誰かにどうこう言うのは好きじゃないんです。だって、自分は自分、人は人じゃないですか。だけど、自分に厳しくしてきたから、つい人にも厳しくしてしまうところがあって、それは好きな部分でもあり、嫌いな部分でもあります。