【特集】信州は博物館・美術館王国② 奮闘!町の小さな博物館 きっかけはなんでもいい。とにかく来て!見て! 30回以上通うリピーターも 子どもたちがはまる秘策とは…
テレビ信州
箕輪町にある町立の郷土博物館。最近、訪れる人が増えました。そのワケが、こちら! ※ガチャ、コロコロ…カプセルトイ。出てきたのは・・・。 小学2年生の男の子 「ちゅうしょうかいがもんゆうこうつばつきどき」?? 一体何かというと… 小学2年生の男の子 「抽象絵画文有孔鍔付土器」 縄文土器です。 このカプセルトイ、館内で展示されている土器や土偶などのミニチュア版レプリカが8種類。ここだけのオリジナルです。 今年9月のリニューアルに合わせて設置したところ、ジワジワと人気上昇中です。 箕輪町郷土博物館 柴秀毅館長 「土器って小さい子には難しそうかなと思ったので、そんなには反響ないかなと思ったんですが意外とガチャということがあって小さい子も来てくれてるかなと思います」 箕輪町郷土博物館 柴秀毅館長 「博物館の中で一番おもろいな、と思った資料を描いてください」 カプセルトイを回す条件、それは、受付で渡されるお題に答えることです。 女の子 「なんか面白いのあった?」 女の子 「なんだこれ?」 女の子 「〝せっぱ〝(刀装具の一つ)だって」 男の子「くわ、こしき・・・」 展示を見て回答。受付に持っていくと・・・。 男の子 「田下駄です。田んぼで使うもの・・・なんか、、、顔みたいで面白かった」 箕輪町郷土博物館 柴秀毅館長 「これ、弥生時代からずっと使ってるんだよね。3個目なのでメダルを」 1日1つのお題に3回答えるのがカプセルトイの条件。つまり、3日通うと、1回、回せるルールです。 箕輪町郷土博物館 柴秀毅館長 「これ、御射山遺跡ってところで出た土器です。2階に展示してあったのわかった?取手みたいなのがついてる。こういう感じだね」 男の子「コップ?いいのが出ました」 小学2年生の男の子、学校行事で訪れたのをきっかけに 家族と通うようになりました。 男の子の母親 「嬉しいは嬉しいですよね。わたしずっとここで育って、ここで結婚してここにいるので、子供も地元を知ってもらえるのは嬉しい」 学芸員 「これはね、土偶っていいます。イヤリングしてる、素敵だね」 箕輪町郷土博物館 柴秀毅館長 「お金ですと、大人の方ができてしまうので、子供さんだけで来ても挑戦できるということと、中のものを観察したりして、感性といいますか培えればなと思うので」 夢中になっているのは子供だけではありません。仕事帰りに度々通うという町内の女性。 町内に住む女性 「(亡くなった)子供を入れて台所に埋めたそうなんです。魂をそこに置いて暮らしてたんだなって・・・ちょっといろんな想像しちゃいますね」 博物館ができたのはいまから50年前。リニューアル前は来館者がゼロという日も少なくありませんでした。 その状況を変えようと、リニューアル後は入館料を全員無料に。 手作りで温かみのある展示にして、気軽に立ち寄れる空間をめざしました。カプセルトイも、そんな、新たな仕掛けの1つ。 地元の箕輪進修高校の生徒が3Dスキャンしたデータをもとにミニチュアを製作、職員たちが色を塗りました。 箕輪町郷土博物館 柴秀毅館長 「(箕輪は)超有名なものとかがないので、自分のところにいいものがないんじゃないかと思ってる人も多いと思うんですけど、実はじっくり見てみるとよそから見てもいいねってものがいっぱいあるってしっていただけたらいいかなって思います」 中学生 「こんにちは」 職員 「ベテランだね」 やってきたのは、町内の中学1年生、藤森さん。 町内の中学1年生 藤森苺花さん 「(リニューアル後)もう30回以上来てます」 歴史好きで、幼い頃から訪れていましたが、カプセルトイをきっかけにさらに熱心に通うようになりました。一番のお気に入りは… 町内の中学1年生 藤森苺花さん 「双口土器です。やっぱり何にうかわれたのかわからないってミステリアスなところがいいんですよね」 これをきっかけに縄文時代に興味を持ちほかの施設にも足を運ぶようになりました。 この日は、12回目のチャレンジ。 学芸員 「お!シルバー出たじゃん!すごいすごいレアものが出ました!」 町内の中学1年生藤森苺花さん 「当たっちゃいました!」 顔面把手付深鉢型土器の「シルバー」、初ゲットです! 実は…。 町内の中学1年生 藤森苺花さん 「全部コンプリートしちゃってここにあるのは全部もってます」 早くも8種類すべて手にいれた藤森さん。 8種類揃えたあとも、特別に色が塗られた「レア」ものを目指して博物館通いを続けていたのです。 町内の中学1年生 藤森苺花さん 「歴史っていうと昔の人たちが築いてきた、何かちょっと難しいなって感じなんですけど、やっぱりこういう昔の人がこういう生活してたんだよってのを目で見ると、やっぱりそういうこと(親近感)が湧くなって思います」 町内の中学1年生 藤森苺花さん 「わたしが今まで集めたものがこちらです」 この日ゲットしたシルバーの土器もコレクションの仲間入り。でもやっぱり・・・ 「お気に入りなのが、これ、双口土器!」 これまで年間2000人ほどだった来館者はリニューアル後のおよそ2か月間で、すでにその数を超えました。 箕輪町郷土博物館 柴秀毅館長 「めちゃくちゃありがたいというか、うれしいですねきっかけはなんでもよくて足を運んでただいて、町の文化に自然に触れていただける。そんなことができたらいいかな」 地域に根差した小さな博物館が、子どもたちに興味の種をまいています。