開幕2試合不発の16歳Jリーガー久保建英が感じている「もどかしさ」の正体
プロ契約と同時に全日制の高校から通信制のそれに転校し、原則午前中に行われるトップチームの練習や遠征にフル参加できる状況を整えた。開幕までの対外試合では6試合で4ゴールをマークしてアピールしたものの、チーム内でお互いを熟知し合う、という意味ではまだ時間が足りないのだろう。 ボールが回ってこない理由は、まさにそこにある。実績十分の東や太田に対して、直接フリーキックを蹴りたいと言いだせなかった点も然り。ただ、どんな形であっても、仕掛けたときには明らかな「違い」を生み出せる。 直接フリーキックを獲得した直前には、右側を相手に防がれた状態で体を一回転させながら巧みに縦へ抜け出し、ゴールラインぎりぎりから中へパスを折り返してスタンドをわかせた。 卓越したテクニックは、J1でも十分に通用する。あとは実戦で、いかにしてそれをチームの得点につなげていけるか。合流して間もない選手ならば誰でも直面する壁であり、乗り越えるための答えは日々の練習で意識をより高くもつ先にある。久保が決意を新たにする。 「練習でもっとそういう部分を突き詰めていけると思うので。今日みたいに途中から出る場合は、前半の段階から(パスを)もらえるポジションや、(2トップの)前田(遼一)選手やディエゴ(・オリヴェイラ)選手の動きのいい部分を見ながら、取り入れていければいいかなと思っています」 7日からはYBCルヴァンカップのグループリーグが開幕する。J1と同時進行で戦っていくだけに、出場機会 が限られている選手にとっては、チーム内の序列をあげる絶好のチャンスとなる。 「そこでどれだけ存在感を出せるか。あの時間帯から出て、試合を変えられる選手になってほしい」 長谷川監督も、久保を含めた途中出場組にエールを送った。0‐1のままベガルタに屈し、引き分けたレッズ戦に続いて勝ち点3を手にできなかった新生FC東京を、特に攻撃面で変化を加えられる可能性を、唯一の21世紀生まれのJリーガーは秘めている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)