エース級が次々と退職のNHK社会部で何が起きているのか 「国会議員に配慮し牙を抜こうとしている」
相次いでエースたちが退職
上層部の中には“それでいい。実質的に「国営放送」として生き残るしかない”と自嘲気味に話す者もいるという。こうした現状に反発、あるいは悲観し、つい最近も警視庁キャップや社会部副部長などを務め、メインストリームを歩んできたエースたちが相次いで退職を決め、局内に衝撃が広がっている。 政府の監視もせず、その公式発表を伝えて事足れりと考えているのだとすれば、NHKはネット空間で手痛いしっぺ返しを食らうこと請合いである。 立教大学社会学部の砂川浩慶教授(メディア論)も、こう言うのだ。 「災害時の情報などについては一定程度『参照点』の役割を果たしているともいえるでしょうが、その他のニュースも同じかといえば疑わしい。大半の人が、NHKは与党や警察など、時の権力と戦わないというイメージを抱いています。『政治マガジン』など、記者の視点が感じられたコンテンツが停止されたこともあり、今後のネット配信は“オフィシャル情報”が溢れてしまう状況になりかねません」
議員、官僚の政治力に頼らざるを得ない
“スマホ所有者強制徴収”実現への次なるステップに進むためには、有力議員や総務官僚の政治力に頼らざるを得ない。従って、権力の疑惑に対する調査報道で下手に刺激するなどもってのほか、というわけだ。 社会部の“弱体化”と、それに伴う士気の低下についてNHKに問うと、 「ご指摘のような事実はなく、NHKは、公共放送の役割を、役職員一丸となって果たしてまいります」(広報局) かように紋切り型で押し通しながら「ライフライン」の一角を占めようなど、到底できない相談である。 前編「『スマホを持っているだけで受信料徴収』という恐怖 警戒すべきNHK『放送法改正』の真の狙い」では、NHKの番組のネット配信が「必須業務」となった法改正の内容に触れ、NHKの“真の狙い”について、専門家の声を紹介している。 「週刊新潮」2024年8月8日号 掲載
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