「あー、くそ!」電撃訪問・由伸氏直伝の練習に坂本苦戦も最後は快音「本当にありがたかったです」球速170キロ打撃マシンにも挑戦
打撃不振のためファームで調整している巨人・坂本勇人内野手(35)が29日、元監督の高橋由伸氏(49)=スポーツ報知評論家=から激励を受けた。ジャイアンツ球場を電撃訪問した由伸さんが見守る前で、約40分間の打撃練習を行った。スイング軌道や右手の使い方などを質問したり、由伸さんが現役時代に行っていた“ワンバウンド打ち”も教わった。「本当にありがたかったです」と感謝した。緊急開講された“由伸塾”を、復活のきっかけとする。 【動画】坂本勇人が室内練習場でトスバッティング 思わず、坂本の頬が緩んだ。午後2時、バットを片手にG球場の室内練習場に姿を見せた背番号6。数分後、グレーのスーツに青いネクタイを締めた由伸さんが現れた。選手、監督として共闘してきた先輩が「たまたまこっちに用事があってね。勇人が練習してるから」と激励目的で電撃訪問。うれしいサプライズに、自然と笑顔がこぼれた。 まさかの“由伸塾”が開講された。ファーム合流3日目で「やれることは何でもやりたい」とフォームや体の調整法を模索中の坂本が、この絶好機を逃すはずがない。防球ネットを挟んで約2メートル後方に立った由伸さんが見守る前でマシン打撃を行い、まずは22スイング。その後、由伸さんに質問を繰り返し、スイングの軌道や右手の使い方を確認。名手同士で感覚を共有していった。 そこで伝授されたのが、“ワンバン打ち”だった。由伸さんが現役時代に取り組んでいた練習法の一つを「下からくるボールを打つと、逆の視点を持てる」と意図して提案された。さっそく坂本は、隣のケージに移動して打撃投手を務める神田トレーナーに「この辺りでお願いします」と、打席から約2メートル前でボールをワンバウンドしてもらうように要望した。 当初はバウンド後に不規則な変化を見せる球を捉えきれず「あー、くそ!」と苦戦したが、次第にバットの芯で快音を響かせる。最後は右中間方向に鋭い打球を連発した。打率2割3分4厘、4本塁打、18打点と苦しみ、故障や体調不良以外ではルーキーイヤーの07年以来にファーム調整となった現状に「何も正解が見つかっていない」と悩める心境を吐露していた背番号6。由伸さんの与えた“きっかけ”に「感覚もよかったし、これから継続してやりたいね」とヒントをつかんだ様子だった。 最後は球速170キロの打撃マシンに挑戦するなど、由伸さんが見つめる前で約40分間、バットを振り込んだ。サプライズ激励に「本当にありがたかったです」と感謝した。尊敬する先輩の思いに応えるために必ず、復活の道を歩む。(内田 拓希) ◆坂本と由伸さん 坂本が高卒ルーキーだった2007年から、由伸さんが現役引退した15年まではチームメート。由伸さんが巨人の監督を務めた16年から18年までを含め計12年間、巨人で共闘した。坂本は由伸さんの現役時代から打撃理論を聞いており「19歳の時から本当にお世話になっている」。由伸さんは坂本を「内角打ちの天才」と語っている。
報知新聞社