老後の年金、何歳から受け取る?【国民年金・厚生年金】繰上げ・繰下げ受給を選択している人はそれぞれ何パーセントか
繰上げ・繰下げ制度の利用状況
ここからは、厚生労働省が2022年6月24日に公表した「年金制度の仕組みと考え方 第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給」を参考に、繰上げ・繰下げ受給を選択している人はそれぞれ何パーセントくらいいるのかについて、見ていきましょう。 受給開始時期の選択を終了した70歳の受給権者を対象として、老齢年金の繰下げ・繰上げの利用状況を見ると、国民年金(老齢基礎年金)の繰下げ受給者数は0.5万人で全体の2.6%、繰上げ受給者数は3.2万人で、全体の16.8%を占めています。 一方、厚生年金(老齢厚生年金)の繰下げ受給者数は2.6万人で、全体の1.6%となっています。 また、2016~2020年度末時点における70歳の受給権者の年金受給状況と照らし合わせてみると、繰下げの利用率は1%~3%程度、国民年金における繰上げの利用率については、低下傾向にあることが分かります。
年金はいつから受給すべきか
ここまで、年金の繰上げ・繰下げ制度の利用状況について詳しく見てきましたが、実際、年金はいつから受給するのがよいのでしょうか。 ここでは、年金の繰上げもしくは繰下げがおすすめな場合について、いくつか紹介していきます。 ●年金の繰上げ受給がおすすめな場合 自身の健康上の理由や家族の介護など、何らかの事情があって働きに出ることが難しい方、また、その上、貯金額も十分ではない場合は、基本的な生活費を確保するために、繰上げ受給を検討してもよいでしょう。 前述した通り、繰り上げ受給では年金額が減ってしまいますが、定期的な収入を確保することができるため、生活の安定につながります。 ●年金の繰下げ受給がおすすめな場合 年金の繰下げ受給を利用する最大のメリットは、増額した年金を受け取れる点にあると言えます。 そのため、下記のようなケースに該当する場合には、繰下げ受給制度を利用することによって、より合理的に年金を受け取ることができるかもしれません。 ・繰下げた期間内の生活費などをまかなえる収入が十分にある ・65歳時点において受給できる年金額が少ない ・あるいは年金以外で収入の見通しがある 一方で、十分な収入を確保できずに繰下げてしまうと、早々に老後資金を取り崩すことになってしまいます。 また、そもそもの年金額が高額な方は、年金受給額が増えても、税金や社会保険料も増額し、結果として負担が大きくなってしまうため、繰下げるメリットは少ないと言えるでしょう。