132年ぶり2人目の大統領返り咲き、トランプ氏「すべてを米国第一にする」「再び偉大な国に」
【ワシントン=田島大志】米大統領選は5日、投開票が行われた。米主要メディアは6日朝、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78)の当選が確実になったと相次いで報じた。女性、アジア系で初の大統領を目指した民主党候補のカマラ・ハリス副大統領(60)は及ばなかった。来年1月に4年ぶりに大統領に就任するトランプ氏が、どのような内政、外交政策を打ち出すかが今後の焦点となる。 【写真】トランプ氏巡る刑事事件、裁判手続き延期・打ち切りも…特別検察官を「2秒以内に解雇」
トランプ氏は6日未明、自宅近くのフロリダ州ウェストパームビーチで勝利宣言の演説を行い、「すべてを『米国第一』にすることから始める」と述べた。「団結する時だ。すべての国民のため、我々は米国を再び偉大な国にすることができる」と国民に融和を訴えた。
大統領選は、全米50州と首都ワシントンに割り当てられた選挙人538人を争う仕組みで、七つの激戦州の行方が注目された。トランプ氏は、両陣営が「最重要州」と位置付けてきたペンシルベニアのほか、ジョージア、ノースカロライナなどを制した。AP通信による米東部時間6日午前6時半(日本時間6日午後8時半)時点の集計では、トランプ氏が勝利に必要な過半数の270人を超える選挙人277人を確保した。ハリス氏は224人にとどまっている。
共和党は、大統領選と同時に行われた連邦議会の上院選でも過半数を獲得した。
トランプ氏にとって3度目の挑戦となった今回の大統領選は、異例の選挙戦となった。米大統領経験者として初めて起訴され、米議会占拠事件関連など四つの刑事事件を抱えながら戦った。今年7月にはペンシルベニア州で選挙集会中、耳に銃撃を受けた。
選挙戦では、有権者の関心が高い不法移民対策やインフレ(物価上昇)対策で徹底して現政権の政策を批判し、自らの経済運営能力をアピールした。
7月に撤退表明したバイデン大統領の後継指名を受けて8月に党の候補者指名を受けたハリス氏は、人工妊娠中絶の規制強化を進めてきた共和党を非難し、女性や若年層に浸透して勢いに乗る場面もあったが、終盤戦で失速した。
米国で大統領が退任後に返り咲くのはグローバー・クリーブランド氏(1885~89年、93~97年に在任)以来、132年ぶり2人目となる。副大統領にはJ・D・バンス上院議員(40)が就任する。