「ステージ4イコール“死”を連想した」肺腺がんの現役看護師、娘と聞いた宣告と泣きながら書いた遺書
仕事復帰後は、自身のがんの経験を活かした新たな取り組みをスタート。がん患者同士が集まって語り合えるサロンを2つ発足させた。
自らの経験を活かし、患者をつなぐ活動を開始
2020年1月に、通院先である鳥取大学医学部附属病院のがん相談支援センターの協力のもと、子育て世代が集まれる「さくらカフェ」を。同年7月には、勤務先の医療法人養和会の支援を受けて、40、50代が中心の患者サロン「あさがお」も発足。 「きっかけは、やはり私自身ががんになって子どものことを悩んだ時に、がん患者の団体『キャンサーペアレンツ』のオフ会に参加したことでした。そこで、同じように子どもを持つがん患者の方々の話を聞き、すごく助けになったんです。やはり、ピアサポート(仲間同士の支え合い)が必要だと強く感じました」 サロンの運営はすでに4年目。定期的に子育て・働く世代のがん患者と家族による交流会や、オンラインでの情報交換、会員からの寄稿記事などを掲載する会報誌の発行を行っている。 「体験された方のお話は、リアルで伝わりやすい。同病の仲間だからこそ分かり合える部分も多く、交流の場の存在は非常に大きいと感じています」 松本さん自身の治療は、告知から今年で7年。 「今も薬を飲みながら、仕事も続けています。がんイコール重病人とイメージしがちですが、がんと付き合いながら生活する人もたくさんいる。高血圧や糖尿病を薬でコントロールしながら生活されている方々と同じように、普通に捉えてもらえれば」 一方で、薬物療法を受けたがん仲間のなかには、薬が合わずに亡くなった方もいる。 「私が今こうやって過ごせているのは、役割があって生かされているんだなと思うようにしています。医療従事者であり、がん経験者だからこそできることを今後もやっていきたい。患者さん同士やその家族をつなぐかけ橋になれればいいなと思っています」 取材・文/當間優子