『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』35周年。長期にわたる超ロングヒットシリーズの原点は、1980年代ゲームファンを驚かせた1作だった【今日は何の日?】
『ドラクエIV』のあの機能を先取り!? いまから35年前の1989年12月10日は、PC-8801mkIISRで『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』が発売された日。 【記事の画像(9枚)を見る】 1980年代後半~1990年代前半はPCゲームの全盛期。その中にあって超人気作だった『ドラゴンスレイヤー』シリーズの6作目として生まれたのが、このPC-8801mkIISR版『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』。『ドラゴンスレイヤー』シリーズといえば、国産PC用ゲームで40万本セールスといういまなお破られない大記録を持つ『ザナドゥ』や、新しい物語を後から追加できる斬新なシナリオシステムを採用した『ソーサリアン』など、名作アクションRPGを擁するシリーズだ。 その名シリーズに連なる『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』が描くのは、10年前に急逝した国王に代わって国を治めるアクダムと、その彼に立ち向かう主人公・王子セリオスの物語だ。 豊かな自然に恵まれた世界“エルアスタ”で、賢王アスエルの下で平和に統治されていたファーレーン王国。しかし10年前、モンスターの軍団が襲来してアスエル王は帰らぬ人に。王の最期を看取った側近アクダムは、セリオス王子が16歳になるまでの期限付きで国王代理に就任して王国を治めることになる。そして月日は流れ、セリオス王子の16歳の戴冠式はあと数日に迫っていた――。 といった“ファンタジーもの”の王道とも言える不穏な展開から始まる本作は、第1章、第2章……と章仕立てで全6章の物語が展開する。 また、本作は1989年当時のPCゲームファンを大いに驚かせたタイトルでもあった。なにしろ『ドラゴンスレイヤー』シリーズはアクションRPGにこだわり続けた、同ジャンルのトップランナー。ひとつ前のシリーズ5作目『ソーサリアン』がPCエンジンやメガドライブなどの家庭用ゲーム機でも人気だっただけに、シリーズ6作目にかかるファンの期待はとてつもなく大きく膨らんでいたのだ。 こうしたファンの期待感を一身に背負って登場した『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』は、蓋を開けてみればコマンド選択方式のバトルを採用したオーソドックスなスタイルに斬新な試みを仕込んだRPGだった。 章仕立てで展開する物語や、コンピュータが状況を判断して自動的に戦闘を行う“オートバトルモード”と聞くと、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』を想像する方も多いはず。なんと本作はそれらの機能を『ドラゴンクエストIV』に先駆けていち早く盛り込んでいたのだ。 また、レベルアップ時のステータスポイントの自動振り分けや、つぎの目的地にたどり着くために必要なレベル数のアナウンス、100%成功する戦闘時の“逃げる”コマンド、戦闘で全滅してしまっても直前から再スタートできるなどの親切機能が盛りだくさん。 理不尽な謎解きや難度の高さが当たり前だった時代にあって、本作ではシリーズで培ってきたノウハウをもとにハードルを下げているのだ。これはより多くの人が胸躍る物語やキャラクターの育成を楽しめるようにという想いがあったのだろう。 1992年には続編『ドラゴンスレイヤー英雄伝説II』が登場し、さらにその後は『英雄伝説』(軌跡)シリーズとして35年以上にも続く超ロングヒットなIPに成長したのも、『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』がゲームファンの心をつかんだからこそ。2024年9月に登場した新作『英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-』にも、その原点の魅力は脈々と受け継がれている。 超ロングヒットシリーズの礎を築いた『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』。現在はプロジェクトEGGより本作の初版にあたるPC-8801mkIISR版をそのまま再現したNintendo Switch版やWindows版が発売中。これを機に名シリーズの原点をぜひ体験してみてはいかがかな? ※画像はプロジェクトEGG版またはEGGコンソール版のものです。