「第2次トランプ政権」朝米対話に備え、韓国は対北朝鮮政策を全面修正すべき【社説】
文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が、米国のドナルド・トランプ前大統領の当選により「朝鮮半島と北東アジアの情勢は重大な転換期」を迎えることになったとして、「今後到来する対話局面で疎外されないようにするためには、これ以上遅れる前に対北朝鮮政策の基調を転換すべきだ」と述べた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権はこの2年半の間、相手の立場をまったく考慮しない「吸収統一」構想を掲げ、「対北朝鮮ビラ・ごみ風船事態」への対応に失敗し、南北関係を破綻へと導いた。このような状況の中でトランプ前大統領が改めて朝米対話をはじめれば、朝鮮半島の運命を決める重要な意思決定過程から韓国のみが排除される可能性がある。尹錫悦大統領は今からでも外交・安保ラインを全面刷新するとともに、北朝鮮との直接対話が可能な環境を作るために最善を尽くすべきだ。 文前大統領は13日、釜山(プサン)で開かれた第20回「ハンギョレ-釜山国際シンポジウム」の祝辞で、「第2次トランプ政権は北朝鮮の核とミサイルの問題の解決に向けて朝米対話の再開を推進すると思う」とし、「今のような対決主義的な南北関係が続けば、北朝鮮は韓国政府を排除して米国と直接対話」を試みるだろうし、「米国も呼応する可能性がある」と述べた。2018~2019年にトランプ前大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に直接会い、朝米首脳会談を「仲裁」した文前大統領が、「韓国排除」の可能性に対して深い憂慮を示したのだ。韓国が対話から外れることになれば「朝鮮半島の非核化」という目標は消え去り、北朝鮮の核を認めた状態で米国を脅かす大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけを除去するという、容認しがたい妥協がなされる可能性もある。 もちろん、朝米対話が再開されうるかについては、多くの専門家が様々な見通しを示している。ひとつ明らかなのは、政府の判断は、予測が誤っていても「政治的責任」を取らずに済む専門家の見通しとは異なるべきだということだ。今からあらゆる状況に備えて緻密な準備をしておかないと、後で取り返しのつかない大失敗を犯しかねない。 残念なことに、尹錫悦政権の外交・安保政策の担当者たちには既存の政策を修正する能力も意思もないようにみえる。キム・テヒョ国家安保室第1次長は今月10日、「韓国の対北朝鮮政策が米国の次期政権の対北朝鮮政策の樹立過程にうまく融合できるよう、協議していく」と述べた。尹政権の対北朝鮮政策を「定数」として、トランプ政権のアプローチを変えるという意味に聞こえる。説得に失敗して「最悪の状況」が発生した場合、その責任は誰が取るつもりなのだろうか。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )