ブルボン、47都道府県に拠点構え国産原料を探索 自動販売機「プチモール」でチャレンジ商品の市場性を確認
関東大震災で地方への菓子供給が全面ストップしたことを受けて “地方にも菓子の量産工場を”との決意のもと、大震災から約1年後の1924年11月、新潟県柏崎(市制施行は1940年)で創業したブルボン(当時・北日本製菓)。地震など自然災害への危機意識を常に持ちつつ自然との調和を重視して千年の大計を描く。 少子化で国内人口が減少する中、国産原料を積極的に使用している。 全国47都道府県・約50箇所に営業拠点を設け、各拠点で小売業や卸業への商談を行うことで、生活者のニーズや市場変化を把握して店頭でより魅力的な売場を演出するための提案を行っている一方、各地域の素材探索も目的の1つに掲げる。 吉田康社長は「各拠点には、営業だけではなく、ユニークな原料を探してほしいと伝えている。各都道府県に拠点を設けることで行政との距離も近い。都道府県各自治体とコミュニケーションを図り、それぞれの地域のためにも活躍してほしい。輸入原料は商社などから情報が得られるが、地域素材は、自ら探しに行き自治体と意思疎通を図るなど、待ちの姿勢ではたどり着けないことも多い」と語る。
今年、地元・柏崎市からも初の地産商品が登場。柏崎市産本わさびの粉末を使用した「ピッカラ越後本わさび味」を開発し、4月16日から新潟県を中心に販売している。 「ピッカラ」は、独特の食感とクルッと筒状に丸まった形状が特徴のライススナック。これに柏崎市の「石地わさび園」で収穫した本わさびをパウダーにして味付けに使用している。 「6次産業化も視野に入れている。各地でまだ世に知られていない農産品を当社で使用することで活性化を促し、地域貢献に繋がるような取り組みも行っていきたい。それらが、国の食料自給率の向上にも貢献するとなお良い。お菓子だけでなく、飲料やお酒などいろいろなものにチャレンジしたい」との考えを明らかにする。 また、ブルボンがダイレクトマーケティングの1つとして運営する自動販売機「プチモール」は、主にチャレンジ商品の市場性を確認する役割を担っている。 「『プチモール』は次の主力品を見つけるための検証の装置とも考えている。飲料自販機と比べると回転力が劣るため、飲料と同じように利益を出すのは難しい。最近では、維持管理に係るコストが一段とかさむ中、試行錯誤しながら当社商品とのタッチポイントを増やせるように運用している。利益が出にくい状況ではあるが、販売以上にプラスの要素がある」と説明する。