日本の自治体、スタートアップの海外進出を促進ーSWITCH 2024で存在感示す
日本の主要自治体がスタートアップ支援を大々的に強化し、グローバル市場への橋渡しを積極的に推進している。その一環として、10月末にシンガポールで開催された「Singapore Week of Innovation & Technology(SWITCH)」では、JETROが推進役となり東京や関西、愛知、福岡、横浜など多くの自治体がブースを展開。日本のスタートアップの技術力や国際的な連携への強い意欲を示し、多くの来場者の注目を集めた。 展示ブースの様子など、もっと写真を見る SWITCHは、アジア最大級のテックイベントであり、世界中の企業家や投資家、技術者が集まり、最新のイノベーションを発表し合う貴重な場となっている。今年は9回目の開催で、来場者数は過去最多の約2万人に達する勢いだ。
「攻めの姿勢」の関西発スタートアップ
日本各地から自治体と日本企業がSWITCHに参加していたが、特に精力的な活動を行っていたのは関西地域(大阪・京都・兵庫/神戸)のスタートアップだ。同地域は内閣府より「グローバル拠点都市」に選出され、グローバル規模でのスタートアップ・エコシステムの形成と発展が期待される。JETROは2022年度に「Kansai Startup Mashups(関連記事)」という海外向けブランドを立ち上げ、関西スタートアップのグローバル展開を行っている。 今回の滞在期間中、関西スタートアップ6社はSWITCH展示ブースで来場者対応に留まらず、現地の有力投資家や販路拡大に繋がる協業パートナー候補、見込客になる政府関係者を直接訪問するなど、具体的な成果を得るための商談活動を行った。 例えば、京都発のスマートホーム開発の「mui Lab」は、将来のアジア展開を見据え、シンガポールの建築・インテリアデザイン事務所や、大手建築会社のイノベーション責任者とのディスカッションを実施した。代表の大木和典氏は「結果に繋がるかは今後の話し合い次第だが、近い業界関係者との会話ができたからこそmui Labのパーパスやバリューに共感していただけて、非常に有意義な時間だった」と述べた。 今回の関西スタートアップには、ライフサイエンス、ロボティクス、クリーンエネルギーといった先端分野で独自の技術を有する企業ばかりだが、資金調達や販路拡大、市場調査と各社のニーズも三者三様だった。今回はJETRO大阪の尽力により、企業それぞれのニーズに合わせて、投資家や現地企業と具体的な協業機会を創出でき、スタートアップの反応も上々だ。