南海トラフ臨時情報に便乗、Xに広告報酬狙いの大量スパム…「まともな情報得られず」「大事な情報の邪魔」
<これから気をつけることは?>。南海トラフ地震の臨時情報が出た8月、そんな文句で防災サイトへ案内するかのように装った画像付きのスパム(迷惑)投稿が、X(旧ツイッター)上に大量に流れた。画像をクリックすると表示されるのは、アダルトサイトなど無関係なものばかり。読売新聞などが投稿者の情報を分析すると、浮かび上がってきたのは、企業の代わりに商品やサービスを宣伝し報酬を得る「アフィリエイター」と呼ばれる存在だった。(スタッブ・シンシア由美子、鈴木貴暁) 【図】一目でわかる…アフィリエイト広告を利用したスパム投稿の仕組み
臨時情報が出た8月8日以降、こうした不満を訴える投稿がX上に相次いだ。検索結果がスパム投稿ばかりになるからだ。
当時、Xで「地震」「臨時情報」などと検索すると、取るべき防災行動を描いた図や、テレビのニュース映像を切り取った画像などを添付した投稿が、検索結果の上位を占めた。これらは、複数アカウントから数~数十秒おきに投稿されていた。<これから気をつけることは?>のパターンの投稿は、8~12日に少なくとも計数十万件に上った。
だが、画像から誘導されるのはアダルトサイトや投資関連サイト。南海トラフ地震の発生が懸念される中、防災情報を探し求める利用者の妨げとなった。
同様のスパム投稿は、7月下旬に山形県を襲った大雨や8月下旬の台風10号、岸田前首相が同月14日に自民党総裁選への不出馬を表明した際にもあふれた。
誘導先は、アダルトサイトや投資関連サイトだけではない。楽天グループの通販ページ、携帯大手KDDIの有料会員サービス、大手旅行会社の宿泊予約ページなどが表示されるケースもあった。
海外からか
投稿者は誰なのか――。読売新聞が7、8月に確認された100超の投稿元を調べると、アカウントは4~7月に作成され、外国人とみられるアカウント名ばかりだった。さらに広告不正対策を手がける企業「スパイダーラボズ」(東京)の協力を得て、複数の広告のリンク情報を分析した結果、「アフィリエイト広告」のプログラムが使われていたことも判明した。