キーワードは成長過程!? 刻々と変わりゆくアイドルグループの勢力図
空前のアイドルブームと言われる昨今。全国区の知名度を誇る「AKB48」や「ももいろクローバーZ」、「モーニング娘。」などのメジャーアイドルグループが活躍する一方で、全国には地元密着型の“ご当地アイドル”やメディアにはほとんど露出せず、ライブやイベントなど中心に活動する“ライブアイドル(=地下アイドル)”なども存在し、しのぎを削り合っている。 アイドル事情に詳しい芸能評論家の三杉武氏はこう語る。 「一昔前の“アイドル”といえば、容姿であったり、歌唱力であったり、稀有な才能、いわゆるスター性を秘めていることが前提でした。そのうえで、そういったダイヤモンドの原石が輝きを増していく成長過程をファンは応援していました。でも、最近のアイドルはスター性よりも、成長過程の方がよりフィーチャーされる傾向が高まっていると思います。その背景にはアイドルのみならず、芸能人全般を通じて言えることですが、スター性よりも親近感の方がより人気のバロメーターになっていることや社会の情報化が進む中、かつてほどスターがスターでいられない、“ファンタジー”が成立しにくくなっているという芸能人を取り巻く土壌の変化もあるのではないでしょうか」
アイドルの人気を支える親近感と成長過程
今となっては考えにくいことだが、それこそかつては「アイドルはトイレに行かない」なんて“ファンタジー”がまかり通っていた時代もあった。 そうした幻想が成立しにくくなった現代において、親近感や成長過程といった要素が、アイドルにとって人気を集めるうえで重要なバロメーターになっており、身近な存在であるご当地アイドルやライブアイドルの盛況にも繋がっているというわけだ。 実際、現在のアイドル界の頂点に立っているといっても過言ではない「AKB48」は、まさに親近感と成長過程という2大要素を兼ね備えている。「『AKB48』はそもそも“会いに行けるアイドル”を活動のコンセプトにしており、日々の劇場公演や握手会、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを介して、ファンとの身近なコミュニケーションを大切にしてきました。さらに、総選挙やシングル曲における選抜メンバー、研究生システムなどを介してメンバーの成長過程を分かりやすく提示ことで、ファンを魅了してきたわけです」(三杉氏)