「遺骨残る限り維持を」 中国帰国者 共同墓地清掃し墓参り【長野県飯田市】
飯伊中国帰国者連絡会(多田清司会長)と飯田日中友好協会(清水可晴会長)は21日、長野県飯田市川路の飯田霊地公園内にある中国帰国者共同墓地を清掃し、墓参りをした。 共同墓地は、高齢化に伴って中国帰国者から「亡くなった後に入る墓を」と要望が出たため、同協会が帰国者支援の一環として1998年に建てた。当初は37人の申し込みがあったが、個人で墓を設けたり中国に墓地をつくったりして希望者は減少。現在は6人が納骨されている。 管理は墓参りに訪れる遺族が行ってきたが、遺族の高齢化や移住もあって管理が難しくなったため、2019年から彼岸の時期に合わせて同協会と合同で実施するようになった。 この日の清掃作業には、両会のメンバーや墓地利用者ら12人が参加。墓地や周辺の草を取り、「和平」の文字が刻まれた墓碑をきれいに磨いた。清掃後は墓碑に花を供え、皆で線香を上げて手を合わせた。 8月に亡くなり、同所に納骨された男性(享年94)の四男の妻(58)=松川町=は初めて清掃に参加。亡くなった男性を「優しい人だった」と振り返り、「おじいちゃんに会えて良かった」と感慨深げに草を取っていた。 多田会長は「日中友好協会の皆さんのおかげで維持できている」と感謝。満蒙開拓平和記念館(阿智村)の寺沢秀文館長は「帰国者の高齢化が進み、飯田下伊那を離れた2、3世もいる。遺骨がある限り共同墓地を維持していきたい」と話していた。