DAZN相手に一人で訴訟を提起“Jリーグサポーター”20歳の法学部生…「ユーザーの気持ちを無視した」サービス“改悪”の中身
高校時代には教育委員会相手に情報開示請求の「実績」
象徴的なエピソードがある。Hさんは高校時代、教育委員会に対し、小学校と中学校の指導要録(通信表の原簿となる内部文書)の個人情報開示請求をした。ところが、その中の「所見欄」が黒塗りになっていたという。 納得できなかったHさんは、審査請求(不服申立て)し、結果、全面開示に至ったという。一高校生のこの行動は当時、地元紙でも取り上げられ、Hさんは「特に変わったことは書かれておらず、開示しないのはばかげている。閉ざされがちな行政を打開するきっかけになってほしい」と紙上でコメントしている。 なにか違和感を覚えたり、疑問に思ったことは放置せず、とことん追求する――。ピュアで正義感にあふれ、圧倒的な行動力があるHさん。それだけに、今回の「DAZN訴訟」に対しても、あくまで平常心だ。 「Jリーグファンの一人である私にとって、巨額の放映権契約に加え、Jリーグ全試合を放映してくれているDAZNにはとても感謝をしています。しかし、DAZNによる今回のサービス変更は、Jリーグに限った話ではなく、DAZNユーザー全体に関わる問題です。このままなにもしなければ、このような”改悪”が当たり前になる可能性があります。それはやっぱり見過ごすわけにはいかないんです」 理不尽を感じながらもあくまでクールに語ったHさんは、高校時代から法律に触れ、現在も都内法律事務所でアルバイトをしている。「将来は、大きな相手の理不尽やごう慢に苦しめられている小さな個人を救える弁護士になりたいですね」と法曹界での活躍が目標だ。 身に降りかかった理不尽に立ち向かう20歳の法学生は、「今回は大きなお金が動くような裁判ではないですが、大企業による理不尽なことでも泣き寝入りするんじゃなく、自力で活路を見いだすこともできるんだということを感じてもらえばうれしいです」と、控えめにこぶしを握り締めた。 なお、第一回口頭弁論の期日は2024年11月13日(東京地裁)に決まっている。
弁護士JP編集部