トルコ政府が「中国製乗用車」に40%の追加関税 EVに加えて、エンジン車やHVにも対象を拡大
中国の自動車輸出の急拡大に対する“逆風”が強まっている。 トルコ政府は6月8日、中国製のエンジン車およびハイブリッド車(HV)を対象に40%の追加関税を課すと発表した。トルコ政府は2023年3月から中国製EV(電気自動車)に40%の追加関税を課しており、今回の措置はその範囲を中国製のすべての乗用車に広げた格好だ。 【写真】安徽省蕪湖市の港で積み込みを待つ奇瑞汽車製の輸出車両 「中国製の乗用車だけに追加関税を課すのは、中国製品に対する(不当な)差別だ。トルコ政府の措置は最恵国待遇の原則に反している」。中国商務省の報道官は6月14日の記者会見で、そう強い不満を表明した。
■欧米以外への広がりを警戒 トルコだけではない、アメリカ政府は1カ月前の5月14日、中国製EVへの関税を(それまでの25%から)100%に引き上げると発表した。 また、EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会は6月12日、中国製EVに対して最高38.1%の追加関税を課す決定を下した。 そんな中、中国の自動車メーカーは同様の動きが(欧米だけにとどまらず)世界各地に広がることを警戒している。それだけに、EU加盟国ではないトルコの追加関税は、この懸念を増幅した。
トルコ政府はなぜ、中国製乗用車に対する追加関税の全面適用に踏み切ったのか。ロイター通信が報じたトルコ貿易省のコメントによれば、この措置は「トルコ国内の自動車生産の縮小を防ぎ、トルコの(国家としての)経常赤字を減らす」ためのものだという。 ここ数年、中国からトルコへの自動車輸出が急増していたのは事実だ。中国海関総署(税関)の通関統計によれば、2023年に中国からトルコに輸出された完成車および自動車部品の総額は222億元(約4815億円)と、前年の2.24倍に増加した。
同年3月から中国製EVに追加関税を課した後も、エンジン車やHVの輸入が伸び続けたことに、トルコ政府は危機感を抱いたとみられる。 ■中国の投資を引き出す狙いも 自動車はトルコの基幹産業の1つであり、重要な輸出産業でもある。トルコの自動車産業は、伝統的に欧米の自動車メーカーとの関係が深い。欧米メーカーは(1996年に締結された)トルコとEUの関税同盟を活用し、トルコで生産した完成車を主にヨーロッパ市場に輸出してきた。