一揆題材、迫力と感動の渦 20年ぶり上演 軽米町民劇「一月のほたる」
軽米町民劇「一月のほたる」(町文化協会主催)が8日、かるまい文化交流センター(宇漢米=うかめ=館)で行われた。江戸後期に岩手県北地方で起きた稗(ひえ)三合一揆をテーマに、町内で約20年ぶりに上演された作品。キャストやスタッフ総勢約120人が力を結集し、劇を成功させた。7日の総練習の公開も含め、多くの来場者が熱気あふれる舞台を楽しんだ。 協会設立70周年と、同館のオープン1周年を記念して開催。7日は約100人、8日の本公演には会場がほぼ満席となる約300人が町内外から来場した。 舞台の前半では、のどかな軽米村での田植え作業や、虫追い祭りの光景を描く。村人は豊作を願うも、天候不順で飢饉(ききん)が発生。その状況でも八戸藩の藩政改革を進める野村軍記は、厳しい取り立てを行っていく。 後半では、八戸藩主に願いを直接訴えようと、農民が一揆を決意。軽米や周辺から大勢の人々が集まり、心を一つに立ち向かう。ステージ上で多くのキャストが行進する場面は、勇ましい歌にホタルの光をイメージした演出も加わり、迫力と大きな感動を生んだ。 一揆を決心する主役の彦太郎を演じた、町職員の福田丈幸さん(29)は「後半は演技に気持ちが入った。広い会場で観客と一体感のある劇にできたと思う」と達成感を味わっていた。 彦太郎の妹あき役で、町立軽米中2年の本田琉理さん(14)は「泣く演技など感情や動きを求められる場面が大変だったけれど、多くの町民と一緒に表現するのは楽しかった」と笑顔。 脚本・演出を担当した町の演劇衆団「伝楽坐」代表の大清水文子さん(57)は「幅広い世代と、町内の各文化団体が協力して上演できたことに感謝する。参加者の横のつながりができたので、今後の文化活動に生かしてほしい」と願った。
デーリー東北新聞社