U―23日本代表の五輪OA招集は「極めて難しい」…不在かぶっつけ本番でパリへ 山本ND「ぎりぎりまで努力続ける」
日本サッカー協会は30日、今夏のパリ五輪に出場する男子U―23(23歳以下)日本代表の米国遠征に臨むメンバー25人を発表した。五輪前最後の活動として敵地で同米国代表と2試合を行うが、本大会で最大3人まで起用できるオーバーエージ(OA、24歳以上)枠の招集はなし。現状について、山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND、66)は「極めて難しい調整」と説明。OA組が招集できた場合は“ぶっつけ本番”で、交渉次第では最悪の場合、不在で臨む可能性もありそうだ。 描いていた青写真通りにはいかなかった。パリ五輪に向けた最後の活動で、OA組が合流するプランは消滅した。OA招集の現状について、山本NDは「たくさんのハードルがあり、個人個人の意思、所属クラブの了承、移籍する選手は移籍先の了承も取り付けないといけない。(OA候補の)選手は移籍の可能性がある選手も多く、移籍先が決まったとして、そこから交渉に入る過程になる。そこのハードルは、かなり難しさを極めている状況」と胸のうちを明かした。 当初6月の活動はOAを加えて数試合を戦い、五輪に向けて融合を図るプランだった。しかし、五輪は国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際試合期間外のため協会の招集に強制力がなく、各選手の所属先との交渉が必要。「実際にパリ五輪に出場できるというところにまだ至ってないのは個々それぞれの選手にある。そういうところは極めて難しい調整」と山本ND。シーズンオフで移籍の可能性があり、有力候補に挙がっていたDF板倉滉、町田浩樹、MF田中碧らの招集は断念。経験と実力を兼ね備え、チーム力アップに向けて予備登録リストに入れたMF堂安律、遠藤航、守田英正、DF谷口彰悟との交渉は粘り強く進めていく。 前回の21年東京五輪では、自国開催ということもあり5月下旬にOAの3人が決定。最後の活動で五輪世代との融合を図り、本大会では4強まで進んだ。しかし、今回はこの活動で招集された10人の五輪世代の海外組も本大会の出場可否はクラブとの交渉が必要と180度置かれている状況は異なる。OAが招集できた場合も合流は大会直前で“ぶっつけ本番”。交渉が不調なら3枠を使い切れず、最悪の場合はOA不在の事態に陥る。「メンバー登録ぎりぎりのところまで、努力は続けたい」と山本ND。1968年メキシコ市五輪以来のメダル獲得に向け、超えるべきハードルは高い。(後藤 亮太) ◆代表18人へラストサバイバル パリ五輪代表入りへ、ラストサバイバルが幕を開ける。本大会前最後の活動に、大岩剛監督(51)は国内組15人、海外組10人を招集した。「ここでしっかりチーム力と競争力を上げるために、この人数でお願いした」。今回の25人、コンディション面を考慮されて招集外となったとみられる山田楓喜(東京V)、招集できた場合のOA3人を含めた30人弱で、18人の五輪メンバー入りを争うことになる。 顔ぶれにも変化があった。中心は8大会連続五輪出場を決めたU―23アジア杯のメンバーだが、今回はFIFAが定める国際試合期間のため、A代表のGK鈴木が五輪世代に復帰し、斉藤、三戸も今年初めて招集された。さらに今季からオランダ1部でプレーし、リーグプレーオフを含めて25試合5得点のMF佐野も初めて大岩ジャパンに加わる。 「チームコンセプトが独り歩きしがちですけど、その中で自分の特長、強みを出すのが代表のあるべき姿。お互いが成長していくことがチーム力を上げる」と指揮官。各選手によるし烈なアピール合戦を経て、代表戦士は6月下旬に発表される予定だ。
報知新聞社