イチロー、上原、青木ら日本人メジャーリーガーの来季契約はどうなる?
青木は今季、打席数が480に達すれば、マリナーズとの来季の契約が自動更新される予定だった。しかし、8月26日に今季2度目のマイナー降格。これは青木の打席数をコントロールする目的との見方がもっぱらで、マリナーズが青木を来季の構想から外した、と捉えられた。ところが、9月6日に再昇格してからは好調。11試合に出場して、打率.359、出塁率.405で、チームがプレーオフ争いに踏みとどまる原動力になっている。すると先日、タコマ・トリビューンという地元紙が、「マリナーズは青木との再契約に興味を持ち始めている」と報じた。19日現在、432打席。残りは12試合。全試合に出場し、4回ずつ打席に立てば、ちょうど480打席。仮に達すれば、青木は自らの手で来季の契約を引き寄せたことになる。 川崎に関しては、今オフもまずはマイナー契約を交わし、キャンプに招待選手として参加する道を探すことになる。ただ、彼の評価そのものは低くなく、今年も春のキャンプを終えた時点では、カブスの26番目の選手ーー大リーグに一番近い選手と言われた。上がれるかどうかは、運次第のところもある。保証など何もないが、それでも川崎は、チャンスを与えられたところで、挑戦を続けるのだろう。 さて契約が残っているのは、岩隈久志、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太の4人。 2023年までドジャースとの契約が残る前田の周辺は、おそらく無風。岩隈に関しても、今季の投球回数が162回に達した時点で来季の契約が自動更新され、2018年の契約に関しては、今季と来季を合わせて投球回数が324回に達すれば再び自動更新となり、今季が200イニングペースなので、来季のノルマ到達が楽になった。よって2人ともゆっくりこのオフを過ごせるはず。 騒がしくなるかも知れないのが、ダルビッシュと田中。 ダルビッシュの契約は来季限り。もちろんレンジャーズは再契約の意向を持っているが、その見込みがない、あるいは来季のチームが不振で、再建の必要性があると感じれば、7月のトレード期限までにトレードを試みるかもしれない。投手に限らず、フリーエージェントを控えた選手がそうした事情でトレードされるケースは大リーグでは少なくなく、また、選手も決してマイナスと受け止めない。そうした話が出ても、誰も驚かないのではないか。 田中に関しても、似たような状況だ。 彼の場合、来季が7年契約の4年目。ただ、来季終了後に残りの契約を破棄し、フリーエージェントになる権利を持つ。もしも田中が、故障がなく成績も良ければ、代理人は確実に契約解除を勧め、さらに大きな契約を狙うだろう。この夏、一部で田中のトレードの噂が出たのは、その契約条項が背景にある。ヤンキースは、田中と再契約できる見込みがないのなら、田中を交換要員にプロスペクトを獲得すべき、となったのだ。 ただ、あくまで可能性の話。チームが低迷したり、再建の必要性に迫られれば、という条件次第。現時点では、両チームの首脳陣の頭の中にそのシナリオはないはずだ。 なお、日本ハムの大谷翔平の名前はすでに米球界に轟いているが、大リーグ移籍はまだ先のことと捉えているようである。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)