<ラグビー>2019年日本W杯に向けて日本代表で起きている熱き司令塔争い
ラグビー日本代表は若手中心の編成でアジア・ラグビーチャンピオンシップ(ARC)を戦っている。 4月29日、東京・秩父宮ラグビー場。日本代表は、韓国代表とのARC第2戦目を80-10で戦い終える。大会2連勝をマークした。主力候補の多くは、代表と連携するサンウルブズに帯同して国際リーグのスーパーラグビーへ参戦中。現在ナショナルチームのジャージィを着る選手たちは、今後の代表定着に向けアピールチャンスを得ているのだ。 昨秋着任したジェイミー・ジョセフヘッドコーチは3月から4月にかけ、今回のARC組などを集めてナショナルデベロップメントスコッドという枠組みを作った。日本代表に必要な戦術やスキルを落とし込むキャンプを繰り返している。ボスが選手層の拡大を図るなか、多くのタレントが揃うのが、司令塔と評されるスタンドオフのポジションだ。 日本代表の正スタンドオフ候補には、2015年のワールドカップイングランド大会に出場した実力者が揃う。30歳の小野晃征と28歳の田村優だ。 ラグビー王国のニュージーランドで幼少期を過ごした小野は、昨季国内のトップリーグで全勝優勝したサントリーの一員として、全試合に先発。イングランド大会後のジャパンで背番号10を担う田村は、サンウルブズに発足初年度から2シーズン連続で加入している。 しかしいま、小野はニュージーランドでリカバリーをしていて、田村はサンウルブズの主戦級として海外遠征中。出場のチャンスを与えられた20代前半の候補生にとっては、絶好のアピール機会が到来している。 この日の韓国戦で、スタンドオフで先発したのは、24歳の小倉順平である。NTTコム入社3年目の仕掛け役で、瞬時のひらめきを評価されてきた。今季は日本代表と同種の戦術を採用するサンウルブズにも入り、スーパーラグビーの公式戦にも出場。これからのジャパンの10番に必要な資質を、実戦を通して磨いている。 大外へ振ったパスをインターセプトされかける場面などもあったが、時間を追うごとに攻め方を修正。韓国代表がパスの軌道へ先回りしてタックルを仕掛けるのに対し、パスの数を減らしにかかる。自分の手前に立つフォワードにどんどん突進させ、チームを前に出した。前半24、32分のトライは、まさにその結果だった。