「働いたら負け」なんて思わないで…株式投資で「資産6億円」を築いた私がFIREしない深い理由
「働いたら負け」なんて思わないほうがいい
実際、専業トレーダーになった人から、「これまで当たり前にやってきたトレードができなくなった」という話も聞いたことがあります。 私はよく、「投資はメンタルがすべて」とお伝えしています。今の自分のトレードを守るためにも、今後も「副業投資家」であり続けたいと思っています。 私が仕事をやめない理由は、もう1つあります。それは、働くことが嫌いではないからです。 巷ではFIRE(経済的に自立し、仕事を早期にリタイアすること)がブームです。悪いことではありませんが、FIREを達成した人の中には、「働いたら負け」ということをおっしゃる人がたまにいます。 私からすると、ちょっと寂しい考え方だなと思います。自分の可能性を狭めているような気がするからです。 FIREするだけの資産があれば、起業したり、お店のオーナーになったり、ユーチューブで情報発信したり、やりがいがあって、人のためにもなる仕事がなんでもできると思います。 私たちが暮らしている社会は、人々の勤労と労働によって成り立っていることを忘れてはいないでしょうか。 FIREしてビーチで遊んでいられるのも、ホテルの部屋を掃除してくれる人、美味しい食事をつくってくれる人、飛行機でそこまで運んでくれる人、その燃料を採掘してくれる人、膨大な人の勤労のおかげです。 そのことに感謝の気持ちがあれば、「働いたら負け」という言葉は絶対に出てこないと思うのです。 もし、あなたが新NISAでお金持ちになったとしても、働くことは楽しいこと、美しいことだという気持ちは失ってほしくないなと思います。
自営業だった父の背中から学んだこと
私がこうした考え方に至ったのは、父の影響が大きいかもしれません。 父は自営業で、中卒で運送の仕事をしていました。今でいえば、Amazonに使われている配達業者のようなものです。 父は毎日、朝から晩まで忙しく働いていました。ですから私も、小学校4年生くらいから、仕事を手伝うようになりました。商品を卸している近所の会社にうかがって、集金をするのです。 すると、事務のおばさんが「お父さんの手伝いか、いい子だね」と言って、小切手と一緒にみかんをくれたのをよく覚えています。原体験とでもいうのでしょうか。働くことは楽しいことだと、このころに刷り込まれたのかもしれません。 父は70歳でがんで亡くなるまで、生涯現役で働いていました。お金持ちではありませんでしたが、勤労を大事にしていました。 「働かざるもの食うべからず」 父からよく言われた言葉です。私もこの言葉を肝に銘じています。 子どもというのは、意外と親の背中をよく見ているものです。私も5歳になる息子がいますが、親として恥じることのない生き方をしたいと思っています。
上岡 正明(株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役)