東京駅隣接の〈ブラン ルージュ〉で、和のエッセンスを取り入れたフレンチを!
“桜鱒【宮崎/北海道/青森】 六白黒豚【鹿児島】”は、桜鱒の力強さと繊細さが同居したひと皿。プチプチっとした桜鱒の“黄金イクラ”が軽快な口当たり。鹿児島県の六白黒豚で作ったベーコンが味わいに奥行きを与えている!
伊勢海老と上州和牛が見事にコンビネーションしたのが“伊勢海老【高知/千葉】 雲丹【北海道】 上州和牛【群馬】”。伊勢海老は殻付きのまま香ばしくポワレし、上州和牛は薄切りモモ肉を軽く煮込んだ。“フレンチすき焼き風”をイメージした一品で、濃厚な雲丹が伊勢海老と和牛をつなぐ役割を果たしている。伊勢海老の頭の出汁と野菜でとろみをつけたアメリケーヌソースは出色の味わいだから、残ったらパンでぬぐって味わってもらいたい。
“滋養スープ(干し貝柱 どんこ 伊勢海老 六白黒豚 水郷赤鶏 オーガニック野菜)”は、メインディッシュ前のスープ。串に刺さったどんこを器に落とした後に、南部鉄器に入った蒸しスープが注がれるという趣向。貝柱、どんこ、伊勢海老の殻、水郷赤鶏のガラ、昆布など、コースで使った食材を無駄なく用いて至味を紡いでいる。
メインディッシュは複数からチョイスできるけれど、一番のおすすめはアップグレードメニューの“無添加宮崎牛ロース”。この宮崎牛は、石原さんが自ら宮崎県の江田畜産を訪れ、循環農業で肥育するサステナブルな方針や肉質の閑雅な味わいに感銘を受けたという代物。融点が低くさらっとした脂の宮崎牛を低温でじっくりと火を通し、鮮やかなロゼ色に焼き上げた。旨味のジュースがたっぷりと詰まっていて、噛み締めるたびに妙妙たる俊味が堪能でき、馥郁(ふくいく)たる和牛香が鼻を抜けていく。最初は肉を切って、断面に静岡県の本山葵をつけ、ポン酢をつけて食すのがいい。次に深みのある赤ワインソースを合わせると、味わいのグラデーションが感じられるのだ!
この後はフロマージュ、アヴァンデセール、デセールと続いていき、最後はオリジナルのコーヒーと小菓子で〆るという、大満足のフルコースになっている。 ワインは王道のフランスワインだけではなく、日本のワインも充実しているのがいい。ハウスシャンパーニュは“ポメリー・ブリュット・ロワイヤル”(2880円/グラス、1万7000円/ボトル)。シャルドネ、ピノ・ムニエ、ピノ・ノワールがバランスよく配合され、生き生きした泡立ちや、柑橘や白い花の香りが特徴。まろやかながらもボリューム感もあるので、前菜から力強い料理までよく合う。白ワインの“ソラリス 千曲川 ソーヴィニヨン・ブラン 2022”( 1万4800円/ボトル)は、爽快感のある香りで、ジューシーな味わいをもつ。野菜や魚にぴったりで、滋味を引き出してくれる。メインディッシュに合わせたい赤ワインが、“高畠 マジェスティック ローグル・ブルー 青おに 2019”(2650円/グラス、1万2800円/ボトル)。果実感があり、優しいタンニンが肉の食味を穏やかに包み込んでくれる。