「おでんは45分煮れば十分」「はんぺんは温める程度に」失敗しない“入れる順番”とアレンジ「焼おでん」の作り方
はんぺんは“温める程度”
「はんぺんは魚のすり身に山芋などを入れてメレンゲ状に空気を含ませています。そのため煮すぎると空気が膨張して全体的に膨らみ、その後はしぼんでしまいます。 フワフワな状態で食べるためには、火を止める直前に加えて汁をかけて“温める程度”で十分です」 いろいろな種類の練りものを入れることも重要だ。 「材料に使っている魚や製造する時の加熱方法が違うと汁に出てくる味も変わるので、できるだけいろいろな種類の練りものを入れた方が複合的においしい味になります。 その中でも『焼ちくわ』は加熱した時にうまみが出やすい魚を使っているのと、焼き目の部分の皮が薄いため、味がしみ出しやすく、程良く汁を吸うためおすすめです」
味がしみ込むのは「拡散」現象
では、どのようにして具に味はしみ込むのか。 調理科学を研究しているお茶の水女子大学の講師・佐藤瑶子さんに紀文食品が尋ねたところ、これは「拡散」と呼ばれる物理現象だという。 物質の濃度が高い方から低い方へと移動し、同じ濃度になろうとする動きで、大根を加熱することでうま味成分や食塩の濃度が高いおでんの汁から大根へと移動しているのだ。 一方、焼ちくわやさつま揚などの練りもの類は、うま味成分や食塩の濃度が汁よりも高いので、汁の方に味が移動する。 練りもの類は煮すぎないほうが良いのはこのためで、煮すぎるとうま味がなくなってしまうのだ。 そしてコトコト煮ることで、やわらかくなる時間をコントロールしやすく、味もゆっくりしみ込み表面と内部とのうま味成分や食塩の濃度差が小さくなる。 強火でグツグツ煮てしまうと、汁が煮詰ったり、具と具がぶつかって煮崩れするリスクがある。
変化が欲しかったら「焼おでん」
「あれもこれも入れたい!」とついつい作り過ぎてしまった時はどうするか。 そんな時に村田さんがおすすめするのは、味の変化が楽しめる「焼おでん」だ。 「作り過ぎてしまったり、味に変化が欲しい人に提案したいのは『焼おでん』です。 両面をこんがり焼いて最後にバターとしょうゆを入れると香ばしさが増しておいしいです。そしてうま味たっぷりの汁は雑炊にするのがおすすめです。 バターとしょうゆの代わりに最後にごま油を加えたり、チーズとカレー粉をのせてオーブントースターで焼けば洋風の一品になります」 【焼おでんと雑炊の作り方】(材料は1人分) おでん サラダ油少々 バター大さじ1/2 ステーキしょうゆ少々 ご飯(茶碗軽く一杯)120g 卵1個 小ねぎ(小口切り)、きざみのり適宜 1、おでんは具と汁に分け、具材の玉子は半分に切る。 2、ごく薄くサラダ油をひいたフライパンを熱し1の具を入れ、中火~中強火で両面をこんがりと焼き、バターとステーキしょうゆを加え、火を止める。 3、2を焼いている間に鍋に汁を入れ火にかけ、ご飯を加え好みのかたさに煮えたら溶き卵を加え半熟になったら火を止める。 4、3を器に盛り、小ねぎときざみのりをお好みでのせる。 煮ても焼いてもおいしいおでん。食卓やお弁当に登場する機会が増えそうだ。
プライムオンライン特集班