ドイツのミーレ社が調査 環境への負荷を減らす家電の使い方とは(多賀一晃/生活家電.com)
【家電のことはオイラに聞いて!】#78 今年、日本の家電メーカーは、包装材料を石油由来から植物・セルロース由来に変更し、本体に使用する樹脂は再生樹脂比率をほぼ100%にまで高めてきた。省エネ性能はそのままだから、超エコ仕様といえるだろう。 【写真】ドイツを歩く(上)「ベルリンの壁」崩壊から35年…平和運動の発祥地ライプチヒで中世に迷い込んだかのような錯覚に 今から25年前は環境配慮した仕様にユーザーはカネを出さなかった。当時すでに夏の最高気温は35度を超える殺人的な暑さだったが、「異常気象」と呼ばれていた。日本はまだバブル崩壊の後始末でてんやわんや。アメリカは使いやすいOSで新しい世界の頂点に立ち、その成功に酔いしれていた。世界は経済優先で、環境などは後回しの時代である。 だが、今の若い世代は、それはおかしいとはっきり言う。教育で「環境」を教えてきた努力が実ったのだろう。だが、集団が当たり前の人間の生活は、人間サイズの地球生物では異常であり、環境を圧迫する。そうしないためには、人間が環境に与える負荷を最低限にし、バランスをとる必要がある。 ■故スティーブ・ジョブズも愛用したドイツの家電メーカー ドイツで最も尊敬されている家電メーカーにミーレ社がある。ビルトイン型を得意とする家電メーカーで、電気オーブン、食洗機、洗濯機は特に有名だ。物にこだわったことでも知られるアップル社の故スティーブ・ジョブズもミーレの洗濯機がお気に入りだったという。 ミーレが食洗機の原材料から生産、輸送、また労働者の通勤、ユーザー製品の使用、廃棄など、家電が作られてから、廃棄再利用するまでのステップ、ステップで、温室効果ガスの排出量を算出した結果、80%はユーザーの製品使用時に出ていることがわかった。 食洗機は、ロボット掃除機、洗濯乾燥機と並ぶ「家事の時短」版三種の神器だ。これらは元々節約型の家電だ。食洗機などは水6リットルもあれば、一食分の食器をきれいにできる。しかもドイツ人の86%は資源を守ることを大切に思っているという。 とはいえ、メーカーが節約・環境負荷の少ないプログラムとして開発したエコモードを普段使っているユーザーは30%だそうだ。 この話を聞いた時、夏に必ず出てくるエアコンの節電話を思い出した。エアコンはメーカーの「自動モード」で使用するのが最も節約、環境負荷が低いのだが、自分の方がよく知っているとマニュアルさえ読まずに、声高に我流の方法をネットに掲載する人もいる。 ミーレは、どうすれば、ユーザーがエコモードを普段使いにしてくれるのかを考えた。その結果が今秋「リデザイン」されたG7000シリーズだ。完全に新しくはないが、使いやすい。エコモードがリデザインされて、魅力を増している。 これからはエコ家電を持っているというだけでなく、きちんと使ってナンボの時代。環境負荷を減らすためには、ユーザーの、みんなの力が欠かせない。 (多賀一晃/生活家電.com主宰)