ラテラルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違い、ビジネスでの活用術を解説
ビジネスの課題解決や新たなアイデアの創出に役立つ思考法として「ラテラルシンキング」が注目されています。「ロジカルシンキング」との違い、ビジネスでの活用法、トレーニング方法について、ラテラルシンキングの研修・書籍執筆で豊富な実績を持つ木村尚義さんに解説していただきました。
ラテラルシンキングとはどのような思考法か?
「ラテラルシンキング」とは、直訳すると「水平思考」。どんな前提条件にも支配されない自由な思考法、発想の枠を広げる思考法です。1967年、イギリスのエドワード・デ・ボノ博士によって提唱されました。 ラテラルシンキングで重視するのは「プロセス」より「結果」。これまで行っていたプロセスは習慣化されていて「常識」や「伝統」となっていることも多いのですが、それらにとらわれず「最終的にこうなっていればよい」という考え方をすることで、プロセスの中で不要なものに気づくこともあります。 こうした特徴から、問題を最短ルートで解決できるメリットがあり、コスト・時間・手間などの節約につながるほか、今までにない価値を生み出すことも可能となります。 ◆ロジカルシンキングとの違い ラテラルシンキングと「ロジカルシンキング(論理的思考)」の違いは次のとおりです。 ラテラルシンキング──物事をさまざまな視点から水平に広げる ロジカルシンキング──物事を1つの側面から垂直に掘り下げる デ・ボノ博士は、次のような例え話をしています。 「バターにお湯をかけていくと、溝ができ、どんどん深くなっていく。その溝が深くなればなるほど、そこからジャンプするのは難しい」 バターの溝が深くなった状態は「専門家」を指します。専門家はロジカルな視点で考え、概念を分類していきますが、ときにはその分類が誤っていることも。しかし溝が深いと、横への発想が広がりにくいと指摘しています。 なお、ラテラルシンキングとロジカルシンキングは対立するものではなく、いずれか一方しか使えないわけではありません。ラテラルシンキングによって多くの選択肢を出したうえで、「それを実現できるか」をロジカルシンキングで検討するのが有効と考えます。 ◆クリティカルシンキングとの違い 「クリティカルシンキング(批判的思考)」は、ロジカルシンキングのマイナス面をカバーするという点ではラテラルシンキングと共通しています。 ロジカルシンキングで、深くなった溝から出られなくなっている状態に対し、「本当にそうなのか」を問うのがクリティカルシンキングです。ある考え方に対し、客観性を持って判断しようとするものです。