AIの評価ツール「ブレイントラスト」がa16z主導で53億円調達
人工知能(AI)ツールのパフォーマンスを評価・監視し、問題の解決を支援するソフトウェアを開発するスタートアップのBraintrust(ブレイントラスト)が、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が主導したシリーズAラウンドで3600万ドル(約53億円)を調達した。同社の評価額は1億5000万ドル(約222億円)とされた。 ブレイントラスト創業者のアンカー・ゴヤルは、以前に自身が創業したAIスタートアップのImpira(インプリア)と、その後に在籍したユニコーン企業のFigma(フィグマ)で2度にわたりAIプロダクトのインフラを構築していた。 「AIツールを開発する企業が直面する課題は、プログラムを書いてリリースするだけでは機能しないといことだ。それは、材料を計らずにパンを焼くようなもので、すべてがぐちゃぐちゃになってしまう」とゴヤルは述べている。 ブレイントラストのソフトウェアは、AIツールのパフォーマンスを評価・監視し、問題が発生した際にその原因を特定する手助けをする。設立からわずか1年の同社のソフトウェアは、すでにAirtable(アリタブル)やBrex(ブレックス)、Instacart(インスタカート)、Stripe(ストライプ)などのユニコーン企業で利用されている。同社の顧客は数十社おり、過去3カ月でその数は倍増したとゴヤルは述べている。 今回の資金調達は、a16zのパートナーのマーティン・カサードが主導し、Databricks(データブリックス)やDatadog(データドック)などのクラウド分野の大手も参加した。また、同社にはOpenAI共同創業者のグレッグ・ブロックマンや、質問サイトのQuora(クオーラ)CEOのアダム・ディアンジェロらも個人で出資している。 ブレイントラストは、顧客が自社のITインフラ内で運用できるソフトウェア開発キット(SDK)を提供している。このツールを初期に導入したNotion(ノーション)やZapier(ザピア)のような顧客は、自社のパフォーマンスの評価ツールの上に、ブレイントラストのレイヤーを追加して、パフォーマンスを把握していた。顧客は、カスタマイズされたプロンプトの使用や、大規模言語モデル(LLM)の切り替えが正確性にどのような影響を与えるかを確認することができた。 現在では、顧客はAIツールのリリース前にブレイントラストの評価機能を統合し、自社のツールがどれだけ正確に、どれだけ頻繁にプロンプトを提供しているかを追跡・監視している。ブレイントラストはまた、AIにまだ慣れていないプロダクト開発者や担当者を支援するために、コードのビルディングブロックも提供している。 ■多機能ワークスペースツールのNotionも採用 ゴヤルは、以前の2社で直面したAIツールの課題を解決するためにブレイントラストを立ち上げた。彼は、自身が創業しCEOを務めていたインプリアで、写真や動画を検索・分析するためのAI検索エンジンを顧客に提供した実績により2020年のフォーブスの『30アンダー30』に選出された。次に、2023年1月にインプリアを買収したフィグマで、ゴヤルはAIを用いたビジュアル検索機能の開発に関わった。 彼は、フィグマに8カ月間在籍した後の2023年8月にブレイントラストの立ち上げを決意した。