注射せずに「インフルエンザ」のワクチン接種が可能に “経鼻タイプ”が今シーズンから開始
FDA(アメリカ食品医薬品局)は、鼻腔に吹き付けるタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト」を自ら、もしくは介護者が投与することを初めて承認しました。この内容について中路医師に伺いました。 【イラスト解説】新しいコロナ対策「レプリコンワクチン」の特徴・有効性
FDAが承認した内容とは?
編集部: 鼻腔に吹き付けるタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト」に関して、自ら、もしくは介護者が投与することをFDAが初めて承認しましたが、このニュースについて教えてください。 中路先生: FDAは、2024年9月20日にフルミストを自分で投与すること、または介護者が投与することを初めて承認しました。フルミストは、弱毒化した生きたインフルエンザウイルスを鼻に吹きかけて使用する経鼻タイプのワクチンで、注射タイプより早く局所免疫を形成することが特徴です。以前の研究では「注射タイプのワクチンよりも経鼻ワクチンの方が小児で効果がある」とされていましたが、最近の研究では「経鼻ワクチンと注射タイプの効果は同等である」ということが示されています。 フルミストの対象は、2~49歳に設定されています。ただし、「ワクチンに含まれる成分に対して激しいアレルギー反応を示す人」「解熱鎮痛薬のアスピリンを服用している小児および10代」「喘息を持つ2~4歳」「免疫力が弱く慢性疾患がある人」「妊娠中の女性」「脾臓が機能していない人」には使うことができません。フルミストの副反応については、成人の場合、発熱や喉の痛み、鼻水といったインフルエンザのような症状が出る可能性があります。小児の場合、喘鳴、嘔吐、筋肉痛が副反応として表れます。 現時点で、フルミストを自宅で使用するためには、医師による処方箋が必要になります。アメリカでは近いうちに「オンライン薬局でフルミストを提供する」という情報もあるので、自宅から出ることなくフルミストを投与することが可能になりそうです。フルミストが配送される際には、保管方法や使用方法に関する詳しい説明書も同梱される方針です。