塩崎恭久・厚労相に聞く(全文2)受動喫煙対策で日本の評価決まりかねない
通常国会で法案提出が見送られた受動喫煙対策。厳格に屋内原則禁煙を打ち出す厚生労働省と、一定面積以下の飲食店は禁煙の規制対象外としたい自民党の交渉が決裂したためだ。提出に至らなかったことについて「塩崎恭久厚生労働相が意見を曲げなかったため」などの報道が相次いだ。THE PAGEは塩崎厚労相にインタビューし、受動喫煙対策について譲れない思いを聞いた。
自民党の議論 どう見るか
──自民党の議員から、「がん患者は働かなくていい」という発言があり問題になった。自民党内の議論というのが、海外では禁煙が飲食店の客離れにはつながっていないなど、前提となる事実を客観視せずに感情的な議論というのが展開されているようにも感じてしまう。 私は、厚生労働省の案を、5月15日に1回だけ私自身から(自民党の部会で)説明しました。3月1日にできた案なんですね。去年の10月には、飲食店すべてを禁煙とする案をつくっていた。それで、私は皆さんに説明をさせてくださいと。オリンピック開催国で、たばこを吸えるような飲食店を許しているところは一つもないんだということも説明をさせてもらいたいということだった。普通は、お役所の人が説明するのですけれども、私は自ら行って説明しました。 そのとき私との議論じゃなくて、議員が発言する中で、例のがん患者は働かなくていいというやじが飛び出して騒ぎになりました。 私どもは、自民党も一緒に、政府、政府与党一体となって働き方改革をやりました。そのときに、がんの患者の方々も、たくさん実は、人知れず働いていらっしゃるということがわかりました。生稲晃子さんがメンバーに、(働き方改革)実現会議におられましたが、それ以外にもやっぱりたくさんいる。ここにも、随分たばこの問題でがん患者の方々は来られました。その方々は、本当に受動喫煙に敏感で、例えば、空港の喫煙ルームは、例えば、私の地元の松山の空港の喫煙ルームは陰圧になっていないからだめだということを私は初めてがん患者の方から聞いて、あ、そこまで心配されているんだな、つまり陰圧でないと、ドア開けたらふわっと煙が出てきちゃう、陰圧だと中にしか空気が入らないと、こういうことでありまして。 そういうことで、自民党の中の議論は、ちょっと時間切れで終わってしまいましたが、できたら、私はもっと粘り強く何度でも、わかっていただけるまで、どんなに怒られても何しても説明を重ねさせていただけたら、もう少し議論が前向いて進んだのかなと。 だから、たばこを(喫煙店であるという)表示だけで吸えるようにしたらいいじゃないかという方は、じゃあ、オリンピックどうやって迎えるんですかということについての代案をぜひお示しをいただいて。 海外の方も来られて、海外の方は多分ホテル等飲食店、それも飲み屋さんじゃなくて普通のところで、日本の食を楽しみたいという人たちが多いと思うのです。したがって、もうホテルは大体(原則屋内禁煙が)徹底されていますから、そうすると、飲食店をどうするかということで。海外から来た方々は1日3食食べますから、(屋内禁煙でないという点が)やはり(日本の)評価を決めてしまうと思うので、やっぱりそこのところもじっくり議論をさせていただけたらなと思います。