あの名作の続編…いばらの道を歩んだ40年前の映画『オズ』とは
大ヒットブロードウェイミュージカルを映画化し、アリアナ・グランデとシンシア・エリヴォが主演を務める『ウィキッド ふたりの魔女』が今、観客を再びオズの世界へと誘っている。本作は間違いなく、85年の映画『オズ』よりも滑らかな道を進んだことだろう。 あの名作の続編…いばらの道を歩んだ40年前の映画『オズ』とは ■J・ガーランド主演の名作の続編 フランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』でオスカー音響賞に輝いた音響技師のウォルター・マーチは、ディズニーから監督のオファーを受けた。マーチがオズの物語に興味を示しており、ディズニーは『オズ』の原作となったL・フランク・ボームの小説『オズの虹の国』と『オズのオズマ姫』の権利を所有していたのだ。 39年の名作『オズの魔法使』の続編にあたり、よりダークで、ミュージカル要素をなくした『オズ』は、少女ドロシー(フェアルーザ・バーク)が、凶悪なノーム王とモンビ王女によって破壊されたオズの国に呼び戻されるという物語。ドロシーはそこで、ジャック・ザ・パンプキンヘッド、ティック・トック、そして言葉を話すめんどり・ビリーナと友達になる。 ■ディズニーも落胆…監督が途中で交代?! 『オズ』は最初の段階から、数々の困難に直面した。製作費2000万ドルで撮影が始まる6週間前に、プロダクションが一時的にストップ。撮影が開始すると、マーチはディズニーからの信頼を失っていることに気付いた。 マーチは2000年のインタビューで、「スタジオは作品の出来に非常に失望していて、スケジュールに遅れが出ていたこともあり、5週間後に僕はクビにされました」と振り返っている。そして製作チームは、代役としてマーチの長年の友人であるジョージ・ルーカスをロンドンの撮影現場に呼んだという。 監督の交代劇について、悪役の1人を演じたピーター・エリオットは「かなりパニックになりましたよ」と米『ハリウッド・リポーター』に明かした。ルーカスはマーチが作品を完成させるべきだとディズニーを説得し、再び物事を軌道に乗せるために現場に残ったそうだ。さらに、コッポラやスティーヴン・スピルバーグも、作業を助けるために現場に姿を現した。 ■酷評されるもオスカーにノミネート 『オズ』は、1985年6月に全米公開。批評家からはジュディ・ガーランド主演のオリジナルと比較され、酷評されることになった。一方で、本作はアカデミー賞で視覚効果賞にノミネートされた。また、マーチにとっては最初で最後の監督作品となっている。 本作でブリキのきこりを演じたディープ・ロイは、「制作時には数々の困難がありましたが、ウォルター(・マーチ)との仕事は最高に素晴らしかったですよ」と回想した。 ※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌