耐火物製造の「TYK」が初の中計策定。28年度までに営業益1.8倍目指す、新素材事業を伸長・耐火物では海外強化
耐火物メーカー大手のTYKは14日、2024年度から5年間の中期経営計画を発表した。鉄鋼向けを主力とする耐火物事業で安定収益基盤を固めるとともに、新素材事業の強化などを通じて、最終年度となる28年度までに連結営業利益を現行の1・8倍に高める。同社は研究開発力の高さに定評がある。この強みを生かして収益力の向上を狙う。 TYKは鉄鋼向け耐火物の有力メーカーで、製鋼回りの機能性耐火物に強い。同社の収益は粗鋼生産量の変動に左右されがちなため、これまでは単年度の経営計画のみを策定してきた。中期の経営計画を策定・公表するのは今回が初めて。 最終年度となる28年度の収益目標(連結ベース)は、売上高440億円(23年度予想は300億円)、営業利益58億円(同32億円)、ROE8%以上(株主資本利益率、同7・0%)。売上高、利益ともに現行比で大幅な上積みを目指す。 現在、売上高・利益の大半は耐火物関連事業。新素材事業の強化を通じて、5年後には売上高の30%、営業利益の55%を新素材事業で稼ぐ。 一方、主力の耐火物事業では安定収益を確保するとともに鉄鋼向け需要の拡大が見込めるインドなど海外での事業強化を図る。インドでは現在、耐火物製造での進出を検討中。 新素材事業では、セラミックス事業で培った先端技術を活用し、新分野への進出を目指す。セラミックス高機能分野に進出したり、環境関連分野で新製品の市場投入を図ったりする。カーボンニュートラルやEV(電動化)市場の拡大に合わせ、顧客ニーズに対応した製品を開発・投入する考えだ。 中計5年間の投融資計画は170億円。このうち約7割を戦略投資に充てる。 また、5年間で50億円の株主還元を計画。収益力を高めると同時に、配当性向30%以上をベースに高配当を継続する方針だ。