「何をしている人ですか?」と問われ、仕事の話ばかりになる人の悲哀
はじめてマネジャーになった人は、やる気があるあまりプライベートより仕事を優先してライフワークバランスが崩れてしまうこともあるでしょう。 【図】上司からの「有害なフィードバック」の特徴 しかし、仕事とプライベートのバランスを保つことは、あらゆる面でよい効果を生みます。では、どんなプライベートの活動が良い効果を生むのでしょうか? ※本稿はローレン・B・ベルカー, ジム・マコーミック, ゲイリー・S・トプチック(著), 佐々木 寛子(訳)『マネジャーの全仕事』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
仕事のキャリアも大切だが、それだけが人生ではない
初めてマネジャーになった人は、新しい職責に没頭するあまり、起きている時間のほとんどを仕事に注ぎ込みがちだ。仕事に没頭する姿勢は素晴らしい。経営陣の一員として、良い仕事をして業績を上げようという意志の表れだからだ。 とはいえ、仕事とそれ以外の生活のバランスを保たなければ、健やかな人生は送れない。仕事のキャリアも大切だが、それだけが人生ではない。実際のところ、仕事偏重でないバランスの取れた人間になれたほうが、マネジメントでもバランス感覚に優れた良い仕事ができる。これらは切り離すことはできないのだ。 「何をしている人ですか?」と問われると、人は自動的に仕事の話を始める。歯医者だ、会計士だ、あるいは弁護士、営業スタッフ、マネジャー、美容師、トラック運転手など、仕事の話になるわけだ。だが、私たちの人生は仕事だけではない。仕事しか人生にないのなら、むしろそちらを改めるべきだろう。 退職した途端に自分が何者であるかを見失い、自尊心をなくす人は多い。人生と仕事がイコールだったため、退職と同時に、生きる目的が消えてしまうのだ。こうなるのは、人としてバランスが取れていなかったためである。 家族を除けば、すべての関心がキャリアを中心に回っていたのだ。仕事が充実していたなら、それを恋しく思う気持ちはわからなくもないが、退職で意義ある人生が終わるというのは悲しすぎる。 仕事にしか関心のない人は、一面的で薄っぺらい。そうした人は、マネジャーとしての能力でも、多面的な魅力を持つ人には敵わない。就任直後の数カ月はやむを得ないが、滑り出しの時期を過ぎたら、自分の関心を広げて、仕事以外の活動にも取り組もう。