自国民の奨学金の予算70億円、外国人留学生の予算180億円?【ファクトチェック】
日本人学生の奨学金予算70億円は?
拡散した動画では小野田議員が「日本人への奨学金予算が70億で国費留学関係の予算が180億円」と指摘したように編集されている。 しかし、国会会議録を確認したところ「日本人への奨学金の給付型、これの予算が70億で、国費留学関係の予算が180億だった(中略)これは今は変わっているか」と質問していた。文科省の増子高等教育局長(当時)は、給付型奨学金について「2017年度決算額は指摘のとおり70億円。2020年4月に開始した高等教育の就学支援新制度により支援対象者は大幅に拡充して、2020年度決算額は1585億円、2022年度の予算額は2525億円だ」と答弁している(参議院 決算委員会 2022年6月13日)。 つまり、小野田議員が発言した70億円という質問の部分のみが切り取られ、その回答である「2022年度の予算額は2525億円」という重要な箇所が拡散した言説には抜けている。 財務省広報誌「ファイナンス」で2024年度予算を確認したところ「授業料等減免:2,864億円、給付型奨学金:2,573億円、地方分も合わせて5,908億円(2024年3月号24ページ)」と書いてあった。投稿が指摘する70億円は、給付型奨学金制度が創設された2017年度当時の予算であり、その後、増額されていることがわかる。
外国人留学生の予算180億円は?
「外国人留学生の制度」とは国費外国人留学制度の予算とみられる。同じ決算委員会で、増子高等教育局長(当時)は外国人留学制度について「2017年度の決算約180億円だったところ、2020年度の決算額は155億円、2022年度の予算額は184億円だった」と述べている(参議院 決算委員会 2022年6月13日)。 2017年度の決算額は約180億円であり、2022年度の予算額も184億円であることから、ポストが指摘する「外国人留学生の予算180億」は、ほぼ正確。
判定
ポストの予算額はいずれも2017年当時のもので、その後、日本人学生の予算額は増えている。よって誤りと判定した。
あとがき
過去に拡散した動画や言説が再び投稿され、数字が一人歩きしてしまうケースもあるため注意が必要です。動画や言説のキーワードをGoogleなどで検索すると、過去のファクトチェック記事や実際の資料を確認することができます。 検証:木山竣策 編集:宮本聖二、藤森かもめ、野上英文 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。検証記事を広げるため、X、Facebook、YouTube、Instagramでのフォロー・拡散をよろしくお願いします。