「8連覇を逃したら引退する」。“絶対王者”名古屋オーシャンズの守護神・篠田龍馬が話す、停滞の要因と背水の覚悟|フットサル
Fリーグの“絶対王者”名古屋オーシャンズが今シーズン、まだ一度も首位に立てていない。 【映像】名古屋オーシャンズのエースの“超絶神コース”の右足一閃! クラブは新たにイマノル監督を招へいし、クワトロの戦術を取り入れている最中。産みの苦しみを味わっているようにも見えた。 「昨シーズンと比べて、いいフットサルは間違いなくできています。だけど結果がついてきていないのは、このチームは何のためにフットサルをしているのかという大前提が薄れているから」 チーム最古参の篠田龍馬は、5勝2分2敗の4位で迎えた夏の中断期間中にそんな指摘をしていた。
勝つための手段の一つとして、いいフットサルをする
リーグ開幕前のFリーグオーシャンカップでは、ペスカドーラ町田と決勝を戦い、延長第2ピリオドの残り2.6秒、鬼塚祥慶が土壇場で決勝ゴールをマーク。4-3で勝利を収め、タイトルをすでに一つ手にしている。 プレシーズンは負傷離脱した清水和也を含む、5人がAFCフットサルアジアカップを戦う日本代表に選ばれた。さらには昨シーズンからの怪我を抱えていた八木聖人、宮川泰生もトレーニングに参加できず、満足のいく練習を行えなかった。 そんな状況だったことで「割り切ってできていた」と篠田はオーシャンカップを振り返る。 2週間後に行われた、しながわシティとのリーグ開幕戦。名古屋は3-4で敗れ、史上初めて第1節で黒星を喫した。 「僕たちは勝つことが大前提のクラブ。その上で、いいフットサルをするという“順番”が入れ替わっていた」(篠田) 時間が経ち、イマノル監督のフットサルが少しずつ浸透したこととは裏腹に、いつしか「手段」が「目的」になってしまっていた。 しかし、名古屋はFリーグが開幕して17年で16度のリーグタイトルを手にしている、唯一無二のクラブだ。 「勝たなくてもいいのであれば、いいフットサルだけをして『自分たちは向上している』と感じられたら問題ないのかもしれません。だけど自分たちは絶対に勝たなければいけない」と、勝つための手段の一つとして、いいフットサルをする必要があると強調した。 中断期間前最後の試合となった第9節・町田戦を3-4で落とした後、監督も交えてチーム全体でのミーティングの場が設けられた。それぞれが思いを打ち明けて再度目線をそろえ、「大事な場面で失点をしていた」とディフェンス面の強化に注力をした。 失点数以上のゴールを奪うことも一つの手段だが、守りを堅めるのは自分たちのためでもあった。 「例えば失点をしてしまった時、それまでいいことをやれていたとしても、やってきたことを信じられなくなる。昨シーズンと同じことが起きているなという感覚」と篠田は話していた。