「餃子の王将」社長射殺事件きょう11年 捜査員のべ31万人、「実行役」起訴も全容解明は道半ば
2013年に「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)の社長だった大東隆行さん=当時(72)=が射殺された事件は19日、発生から11年を迎えた。捜査当局は実行役として逮捕、起訴した暴力団組員の被告と大東さんに個人的な接点がないことから、組織的な犯行とみて共犯者の捜査を続けているが、全容解明は道半ばだ。 【画像】事件当日、犯人のバイクや車はこう動いた 大東さんは2013年12月19日午前5時45分ごろ、山科区の王将本社前の駐車場で、拳銃で腹や胸を撃たれて殺害された。 京都府警は捜査線上に浮上した暴力団組員の容疑を固めるため、福岡県警と合同捜査本部を立ち上げ、発生から9年を目前とした2022年10月28日、北九州市を拠点に活動する特定危険指定暴力団工藤会系組幹部の田中幸雄被告(58)を殺人容疑などで逮捕し、翌月、京都地検が起訴した。 逮捕時の記者会見で、府警幹部は田中被告について「組織犯罪集団に属し、実行役という位置付けで考えている」と述べ、「共犯者、指示役がいるかも視野に入れて捜査していく」と強調した。合同捜査本部は現在も解散せずに捜査を続けており、投入した捜査員は延べ約31万6千人(今年11月末現在)に上っている。 田中被告については、今年2月に、争点や証拠を事前に絞り込む公判前整理手続きが始まったが、初公判のめどは立っていない。検察側が準備した証拠を採用するか否かの判断に時間を要しているとみられる。 公判は裁判官のみで審理することが決まっている。本来なら裁判員裁判の対象事件だが、過去に工藤会関係者の公判で裁判員への威迫行為があったことを踏まえて、裁判所が、裁判員に危害が加えられる恐れがあると判断し、裁判員裁判の対象から除外した。