北条鉄道の利用客と売上高、3セク移行後の最高記録…通学定期の利用4・3%増
兵庫県加西市と小野市を結ぶ北条鉄道(北条町―粟生13・6キロ)の2023年度の利用客(年間輸送人員)と売上高が、1985年に旧国鉄から第3セクター鉄道に移行後、最高を記録した。加西市から周辺地域の高校に通学する生徒の利用が増えたことに加え、新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた利用が回復した。 【写真】「キハ40」の助士席に座れるサービスも
事業報告書と決算報告書によると、輸送人員は前年度比2%増の38万7836人で、収入の3割近くを占める通学定期の利用が同4・3%増の17万9280人に伸びたのが主な要因。売上高は同1%増の9733万円となった。
同社は、加西市から小野市や西脇市、加古川市などの高校に鉄道を利用して通う生徒が増えたと分析。少子化にもかかわらず、通学利用が増えたのがプラス要因となった。
しかし、同社に出資している加西市は、市内の高校が進学先として選ばれない傾向に複雑な心境をのぞかせている。
コロナ禍が収まって定期券以外の利用も回復し、前年度比6440人増の12万9563人に。休止していたイベント列車を復活させたり、旧国鉄車両・キハ40形の人気が後押しして貸し切り利用が増えたりしたことも増収につながった。
一方で、燃料費や修繕費などの増加で経費が283万円増加。ここ数年の増収を支えた「鉄印帳」の売り上げが伸び悩んだ。経常損失は2110万円で、赤字幅は前年度より71万円縮小した。加西市から2096万円、小野市から94万円の補助金を特別利益として計上し、補填(ほてん)した。
2024年度は、団体列車や運転体験、記念入場券販売などにさらに力を入れ、各地の鉄道イベントに積極的に参加してグッズの売り上げ増を目指す。