運命を受け入れたのような収容犬 「救いたいけど救えない」ジレンマに苦悩した保護団体メンバー 批判覚悟でSNSで助けを求めた
行き場を失った犬猫の命を救い幸せへと繋ぐ活動を続けるボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)。そのメンバーが2024年春、福岡県動物愛護センターへ、別のワンコを引き出しに訪れた際、ある中型犬と出会いました。 【写真】対面時、ガングロくんは無垢な瞳でメンバーを見つめました 後につけられた名前は「ガングロくん」。オスの雑種で、際立って人間に甘えたりはしゃいだりする素ぶりを見せるわけではない一方、かなり人馴れしており元飼い犬とみられました。無垢な瞳で静かにじっと見つめ、檻越しにメンバーの手に触れ、そして檻の奥へと静かに帰っていきました。 その様子はまるで「僕はどんなことが起きても慌てません。これも僕の運命です」と悟っているかのようにも映り、メンバーは胸を強く締め付けられました。
多くの保護団体、ボランティアが抱える「葛藤」
メンバーは「すぐにでも助けてあげたい」と思う一方、同時期に中型犬を保護する余裕がありませんでした。関係先はどこも「ずっとのお家」を待つ保護犬でいっぱいだからです。 このような葛藤はどの保護ボランティア、保護団体も同じです。現実を見て保護するワンコを選ばざるを得ない、もどかしい状況が続いています。 全てのワンコの命を救うことはできないことは、長い活動で十分理解しているのですが、あの中型犬が頭から離れません。出した結論が迎えられる人を探すことでした。 「自分には保護できないのに無責任だ」という批判は覚悟の上です。メンバーは中型犬の命を最優先に、ブログやSNSなどで呼びかけました。
ガングロくんと不思議な縁を持つ里親希望者さんが現れた
批判などはありませんでした。むしろ応援のメッセージや電話が届きました。「うちで迎え入れたい」「助けてあげたい」という声も複数あり、その中に不思議な縁を持つOさんという姉妹がいました。 聞けば、以前も棄てられた大型犬を迎え、18歳まで室内飼育をして看取ったそうです。そして、中型犬の収容期限である4月18日は奇しくも、その大型犬の命日でした。 メンバーはこのOさんに、ガングロくんの命を託すことを決めました。