元女王・鈴木愛がツアー20勝目に王手! 近い目標は「5月の全米オープン出場」その先は「永久シード」
モチベーションに変化が起きた
賞金ランク17位と不本意な成績だった20–21年統合シーズン後には「本当はゴルフをやめたかった。自分がうまくなる様子が見えてこなかった」と引退を考えたこともあったが、周囲の説得で翻意したという。 「周りに続けてほしいと言われて……。その時にコーチにもう1回年間女王だったり、永久シード(通算30勝)を目指そうという言葉をもらったので、少しずつモチベーションが変わった」 被災地に1000万円の義援金を寄付した能登半島地震と羽田空港衝突事件にも心を動かされた。 「自分も飛行機に乗ることが多いので、そこにいてもおかしくなかったなと思うし、いつ自分の人生が終わっても後悔しないようにやりたいと思ったので、そこからトレーニングや練習もしっかり取り組みたいなと思った」 今年の1月は米国で合宿をし、再現性の高いスウィング作りに取り組んだ。
「ゴルフはメンタルだと言われるけど、初めに技術がないと意味がない。(順番は)技体心。今はそれがすごくはまっているので、飛距離も伸びたし、方向性もめちゃめちゃよくなった」 並行して苦手だったトレーニングにも挑戦した。年が明けてからは毎週1度は欠かさず行い、マッサージなど体のケアにも時間を割いた。 「年齢を重ねるごとに疲れやすくなった。今までのトレーニング量では若い子たちに追いつけない。やるからには30代でも年間女王を目指したいし、やるからには1番になりたい」 元女王の意地と誇りで約半年ぶりの頂点を奪い取った。
世界ランクを上げて、目指すは全米女子オープン出場
5月9日には30歳のバースデーを迎えるが、目指すところは高い。表彰式のスピーチでは「早く20勝目をして、生涯通算記録を30勝までいきたいと思っているので、頑張って永久シードを目指したいなと思います」と宣言した。 その前に当面の目標は5月30日に開幕する全米女子オープンに置く。今年は15年に出場した時と同じランカスターCC(ペンシルベニア州)が会場で、4月3日時点の世界ランク75位以内(鈴木は3月4日時点で83位)に出場権が与えられる。 「近い目標は全米女子オープン。どうしても出たいので、世界ランクを上げときたいなというのがあった。ここまで順調に結果を残せたのは、自分でもびっくりしています」 パワーアップして復活を遂げた鈴木愛、その進化はまだ始まったばかりだ。 PHOTO/Tadashi Anezaki
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