井端ジャパンはWBCで巻き返せるか 辰己の「優勝おめでとう」円陣から「完敗」した侍たちの慢心
■「ふわっと試合に入ってしまった」 だが、戦う前から「優勝おめでとう」の掛け声に、違和感を覚えたファンは少なくなかった。相手をなめているような印象を持った人もいただろう。真剣な表情で声を張り上げて士気を高めていた三塁ベンチの台湾と対照的だった。敗戦後、SNSで辰己の声掛けへの批判が相次いだ。 「辰己は出る杭になることを気にしないタイプ。ああいう奇抜な発言をするのは予測できる。大事な決勝戦で試合前の声出しに指名した時点で人選ミスですよ。台湾には1次ラウンド、決勝ラウンドで2連勝していましたし、ふわっと試合に入ってしまったように感じました」(仙台のテレビ関係者) ■救援の準備が遅れた? 先発の戸郷翔征(巨人)、リン・ユーミンがいずれも4回まで無失点に抑える投手戦の展開だったが、戸郷には危険な予兆があった。制球がばらつき、決め球のフォークを見極められていた。台湾の選手たちは直球に強い。5回につかまった。先頭のリン・ジャーチェンに右中間に先制ソロを被弾。最少失点で切り抜ければ勝負の行方は分からなかったが、火が付いた相手打線を止められなかった。1死後に右前打と四球でピンチを招き、この大会で6割以上の打率と当たっている3番のチェン・ジェシェンを迎える。フルカウントから内角低めの150キロをすくいあげられると打球は右翼席へ。痛恨の3ランで4点差に突き放された。 結果論だが、リンにソロを浴びた時点で「継投策に入るべきだった」と井端弘和監督の采配に疑問符が付けられた。侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者は語気を強める。 「代えられませんよ。ブルペンで誰も準備していなかったんですから。戸郷が先制ソロを浴びた後にブルペンのモニターが映し出されたとき、用意している投手が誰もいなかったことに目を疑いました。一、二塁とピンチが拡大して鈴木昭汰(ロッテ)が肩を作っていましたが、遅すぎます。投手交代の運用でベンチとブルペンは連携が取れていたのか。4回以前に肩を作っていた投手がいたかもしれませんが、5回に誰も投げていなかったのは不可解です。戸郷は球の精度が落ちていましたし、継投策で最少失点に切り抜ければ十分に逆転は可能だった。力を出し切って負けたかというとそうではない。悔いが残りますね」