「すぐに優勝したことを後悔した」R-1ぐらんぷり2014年王者が“第二のキャリア”を見つけるまで
13年ぶりのオール新ネタ単独ライブを「実験に」
演劇の新しい楽しみ方を知り、芸能活動へ弾みをつけるために思いついたのが、ひとりの役者によるオムニバス形式の「ヒトリブタイ」構想だ。 「独立した短編ストーリーが、ひとつのゴールに向かって進む、いわゆる回収型のような芝居です。演者には、現役の舞台役者さんがいいと思って、以前からよく知っている高橋健介くんに相談しました。でも、すぐにはいい返事をもらえませんでした(苦笑)」 コロナ禍で決めた「自分で仕事を作る」という目標への第一歩として開催したのが、13年ぶりとなるオール新ネタの単独ライブだ。実は、この単独ライブには「ヒトリブタイ」のパイロット版の意味も込められていたという。 「息子たちに本来の僕の仕事ぶりを見てもらうのが表の目的で、実は『ヒトリブタイ』の実験という裏テーマもありました。久しぶりに脚本・演出・出演をやってみて、めちゃくちゃ疲れた反面すごく楽しくて、やって良かったと思ったんですが、ぶっちゃけチケットの売れ行きはイマイチでしたね(苦笑)。でも、高橋くんから『やってみたい』と言われたので、結果的には単独をやって良かったです」
企画書が即採用!脚本家の道が本格スタート
コロナ禍でクレープ店の経営と向き合い、オーナーとしての意識も変わったやまもとさんだが、「この下支えがある上で、原点回帰して、コメディ俳優になるため演劇に力を入れると決めた」と話す。単独ライブ後から「ヒトリブタイ」プロジェクトが本格的に動き出し、2023年の夏に「高橋健介のヒトリブタイ『ビューティフル』」を開催。好評を受けて、すぐに年内での再演が決定した。 「色々な方の協力もあって、第1弾は大成功しましたが、『ヒトリブタイ』を継続する方法がわからなかったので、知り合いに相談しまくったら、『主催や製作を請け負ってくれるパートナーを探したらどうか』とアドバイスをもらったんで、急いでKADOKAWAさんに企画書を送りました」 すぐに返信をもらい、緊張しながら打ち合わせに向かうと、開口一番「ぜひ、一緒にやりたい」という言葉が。 「僕は脚本家として関わり、その他のブッキングや製作費、スケジュール管理といったこと全般をKADOKAWAさんが引き受けてくださることでまとまりました」 理想的な形に落ち着き、新たな主演者の松島勇之介というパートナーを得て、すぐに第2弾となる「松島勇之介のヒトリブタイ『喝采』」が開催された。