松たか子・多部未華子・松坂桃李「スロウトレイン」“3姉弟”誕生秘話 俳優陣の力を感じた撮影裏側に迫る【脚本家・野木亜紀子氏×監督・土井裕泰氏インタビュー後編】
【モデルプレス=2025/01/02】2025年1月2日に放送される TBS系新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」(よる9時~)を手掛けた脚本・野木亜紀子氏、演出・土井裕泰氏にインタビュー。当て書きで書いたキャラクター誕生の裏話や続編の可能性について聞いた。【後編】 【写真】松たか子・松坂桃李ら豪華集結ショット ◆松たか子主演「スロウトレイン」 ドラマ「空飛ぶ広報室」(原作:有川ひろ)(2013年/TBS)、「逃げるは恥だが役に立つ」(原作:海野つなみ)「重版出来!」(原作:松田奈緒子)(ともに2016年/TBS)、映画「罪の声」(原作:塩田武士)(2020年)など数々の作品でヒットを生み出してきた脚本・野木氏×監督・土井氏が再びタッグを組み手掛けた本作。変わりゆく時代の中でも普遍的に在り続ける「家族」を通して、痛快で、胸が高鳴り、最後には思いっきり笑顔になれる、宝物のような新時代のホームドラマとなっている。 物語の主軸となる渋谷家の長女・葉子を松たか子、妹・都子を多部未華子、弟・潮を松坂桃李が演じるほか、星野源、チュ・ジョンヒョクら豪華キャストが集結した。 ◆松たか子ら、当て書きの背景・下調べの裏側 ― キャストは主演の松たか子さんから決まっていったのでしょうか? 土井:そうですね。まず、松さんを長女にした3姉弟のイメージが浮かびました。最初に話していたのは、久々に会った3姉弟それぞれが仕事、恋愛、結婚など人生のちょっとした岐路に立っているような。ちょうどコロナも収束しかかって撮影範囲も広がったので、3つの場所で、3人の姉弟の人生の話をできないかという風に考えていました。そこから話していくうちに大まかなプロットやキャストのイメージがどんどん決まっていきました。 ― 全員当て書きに近いとのことですが、それぞれのキャラクターはどのように描かれたのか教えてください。 野木:それぞれの方にどんな役をやってほしいかと考えながらキャラクターを作っていきました。例えば、松坂さんのうーちゃん(潮)は江ノ電(江ノ島電鉄)のお仕事から何にするか決めていく中で、駅員さんだとかっこよすぎてしまうかなと思っていた時、江ノ電で長く働いていた元駅長さんが、いかに軌道が大切かということを説いた本を読んで保線員の設定にしました。 ― 松さん、多部さんは? 野木:「ホームドラマ」と言うと、子供とパートナーがいる主人公が多いですが、今40~50代の独身女性も多いので、独身女性が主人公のホームドラマがあってもいいなと考えました。松さんは、これまでも多くの作品に出演されていますがモテる役が多いイメージだったので、たまには独身の主人公をやってもいいんじゃないかなと(笑)。多部(未華子)さんに関しては、キュートな魅力がある方なので、一見明るくて何も考えてない雰囲気に。だけど実は心の奥にいろいろな想いを抱えているというキャラクターも多部さんなら魅力的に演じてもらえるんじゃないかなと思って書きました。 土井:松さんはフリーの編集者という役柄なので、実際に女性編集者の方何人かに、仕事のことや出版社を辞めてフリーになる道を選ぶ心境などの話を聞いていました。チュ・ジョンヒョクさんの役柄に通じる韓国の独身男性にも結構取材しましたね。今、韓国の少子化が問題にもなっているので、リアルな結婚観や恋愛観について両国で聞きました。 ◆「この俳優さんたちなら大丈夫」俳優陣の力であっという間の撮影 ― 3姉弟の掛け合いも微笑ましいですが、撮影していて楽しかったシーンや印象的な場面はありますか? 土井:どのシーンも楽しかったです。最初に脚本を読んでいた時は「長すぎないかな?」と心配だったシーンもあったのですが、この俳優さんたちなら大丈夫かなと思って撮影してみたら本当にあっという間に終わったことが多くて。特に渋谷家の姉弟3人のシーンや、松さんと星野さん、リリー(リリー・フランキー)さん、池谷のぶえさんのところも。皆さんの演技が素敵でずっと観てられます。 野木:みなさんお上手ですからね。 土井:あと、俳優さんたちも脚本を読んで「このドラマに参加したい」と思って、現場に来てくださっているのがすごく伝わってきました。 ― 3姉弟の年齢が離れているのは、何か意図があるのでしょうか? 野木:一つあるとすれば、何か大きなことがあった時、年齢によって受け止め方が違うということ。潮みたいに意外とショックを受けていなかったり、お姉ちゃんは家長として機能しちゃったり…そういう違いも含めて描けたらいいなと考えました。 ◆「スロウトレイン」続編の可能性は? ― キャストの皆さんの反応や裏話などがあれば教えてください。 土井:松坂くんは、実際にお姉ちゃんと妹に挟まれているので今回の役は「ものすごく分かる」「ここにいることがものすごく自然」と言いながらやっていましたね。 あと、リリーさんが撮影は1日しかなかったのですが、「この3姉弟がどうなっていくのか見たいから毎年やればいいのに」と言ってくださったんです。もし、この作品を気に入ってくれる人がいて、同じように「またあの渋谷家の3姉弟に会いたいよね」「百目鬼(星野源)をまた見たい」と思ってくださったら嬉しいです。 ― まだ放送前ですが、今後続編としてスピンオフや劇場版の可能性も…? 土井:やってみたいですね。今回の放送の数字次第ですかね(笑)。 野木:業界は厳しいですからね(笑)。 ― 貴重なお話をありがとうございました。 (modelpress編集部) ◆野木亜紀子(のぎ・あきこ)プロフィール 脚本家。これまで、 「空飛ぶ広報室」(2013年/TBS)、「重版出来!」(2016年/TBS)、「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年/TBS)、映画「図書館戦争」シリーズなど多数の名作を手掛けた。オリジナル脚本作品にドラマ「アンナチュラル」(2018年/TBS)、「獣になれない私たち」(2018年/日本テレビ)、「コタキ兄弟と四苦八苦」(2020年/テレビ東京)、「MIU404」(2020年/TBS)など。近年の主な作品は、ドラマ「海に眠るダイヤモンド」(2024年10月期/TBS)、映画「カラオケ行こ!」(和山やま原作)、「ラストマイル」(ともに2024年)など。 ◆土井裕泰(どい・のぶひろ)プロフィール TBSテレビのドラマ演出家・映画監督。主な演出ドラマは「魔女の条件」(1999年)、「フレンズ」(2002年)、「GOOD LUCK」(2003年)、「ラブシャッフル」(2009年)、「空飛ぶ広報室」(2013年)、「コウノドリ」(2015、2017)、「重版出来!」(2016年)、「カルテット」(2017年)、映画「ビリギャル」(2015)、「罪の声」(2020)など。近年の主な作品は、ドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」(2022)、「ラストマン-全盲の捜査官-」(2023年)、映画「花束みたいな恋をした」(2021年)など。2025年4月4日に映画「片思い世界」の公開が控える。 【Not Sponsored 記事】
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